2018年5月26日(土)

航空系大学誘致 構想じわり浮上 広島・府中市、まずドローン特区

2018/1/18 1:31
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 広島県府中市にドローンなどの航空技術が学べる国立大学を誘致、地域を活性化しようとの動きがじわり浮上している。発案した府中青年会議所が航空人材の養成を目指す団体と連携したことで、市が基本構想をまとめた。大学にとって少子化は逆風となるものの専門職大学を推進する国の動きもあり、まずは誘致の機運を醸成するため市をドローン特区にするべく取り組み始めた。

広島県府中市の大学誘致基本構想説明会には約100人の市民らが集まった(2017年11月)

 基本構想によると、航空技術大学(仮称)は設計士や整備士、操縦士などを養成する「航空技術系学部」と空港マネジメントを学ぶ「エアライン系学部」の2学部からなる。府中には航空技術系学部の無人航空機コースを置き、ドローンの研究や教育を担う。改正学校教育法で2019年度から開学が認められる専門職大学制度を活用し、国に誘致を働きかける。

 府中で受け入れる学生は1学年100人、校舎の延べ床面積は7千平方メートル。市は「地元への経済効果は初年度7億円、全学年がそろう4年目は年24億円」と試算する。

 アイデアは2年前に府中青年会議所で交わされた議論だ。まちの活性化策として「若者を集めよう」「大学を呼び込めないか」となり、当時の井上達也理事長が「ふちゅう大学誘致の会」を設立。有志で毎月勉強会を開き、対策を練り始めた。

 これに弾みを付けたのが「航空人材を養成する教育機関の創設を目指す日本航空教育都市構想推進協議会(JCAPI、東京・新宿)と出合ったこと」(井上さん)だ。16年12月にJCAPIの星尚男専務理事が府中市にある無線操縦ヘリコプター大手のヒロボーの副社長に就くと両者の思いが一致。「府中に航空技術系大学を」の方向性が固まった。

 府中にはドローンも手がけるヒロボーのほか、リョービ北川鉄工所といったものづくり企業が多い。自動車向けアルミ部品などが中心で、ドローン産業への横展開も容易だ。また、瀬戸内地方は狭いエリアに都市や農村、山や海、島などが混在し、雨が少なく風も弱いなど気象条件にも恵まれる。「ドローン産業を育成するには最適な地域」(井上さん)という。

 国土交通省によると、操縦士や整備士など世界の航空人材は30年に10年比で2倍以上必要になる。だが航空関連産業の現状は、旅客機市場は米欧2社が主導し国産機MRJはなかなか実用化しない。ドローン市場は中国勢の台頭が目立つ。基本構想をまとめた市の豊田弘治企画財政課長は「日本勢が海外と肩を並べるためにも専門職大学が不可欠」と強調する。

 もちろん市に単独で大学を新設する資金力は無い。あくまで「国立」が前提だ。基本構想にも開学時期は明記しておらず、関係者はまずは機運の醸成に力を注ぐ。

 府中商工会議所はドローンを使った新ビジネスのアイデアを募集、2月に発表会を開く。市は20年代にも始まる有人地帯でのドローン飛行実験のフィールドとして特区認定を目指し、国に働きかける検討を始めた。人口4万人の市で大学構想実現への署名は1万5千人強集まった。大学誘致は近隣自治体への波及効果も期待されるため、福山市などの関心も高まっている。(福山支局長 増渕稔)

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