イスラエルと日本の協業つなぐ ジャコーレが現地支社
イスラエルのスタートアップと日本企業をつなぐコンサルティング会社のジャコーレ(東京・港)は17日、イスラエルのテルアビブに現地支社を開設したと発表した。同社は日本を足がかりにアジア展開を目指すイスラエル企業のコンサル事業などを展開。「第二のシリコンバレー」と呼ばれる同国の拠点を通じ、M&A(合併・買収)や協業を図る日本企業の支援も加速させる。

ジャコーレは2017年7月の設立。平戸慎太郎社長(42)は楽天でM&Aの国際案件に携わり、イスラエルを本拠とする通話アプリのバイバーの買収や現地での統合作業を担当した経歴を持つ。現在では取引先として、ウェブサイトやアプリのデータ解析を手掛けるシミラーウエブなどイスラエルのスタートアップの日本進出や販売代理などを支援している。
イスラエルはサイバーセキュリティーや自動車分野などの先端分野で世界の注目を集めている。軍事技術の転用や豊富なハイテク人材などを背景に革新的な企業が多く育っているからだ。昨年7月には田辺三菱製薬が約11億ドル(約1200億円)で製薬会社のニューロダームの買収を発表。同年11月にはSOMPOホールディングスも研究開発拠点を開設するなど外部との連携を通じた新事業の創出をイスラエルでも目指す動きが日本企業に広がっている。
もっとも、創業間もないスタートアップへの投資は「大激戦区」(平戸社長)。日本展開の契約をめぐる仲介トラブルも増えているという。平戸社長は「一過性で終わらせない健全な関係づくりを後押ししたい」と話す。現地企業の専門技術の見極めやM&Aに関わるデューデリジェンス(資産査定)などでイスラエル国防軍のサイバー部隊である「8200部隊」の出身者が立ち上げた情報セキュリティー会社のバビロンと提携した。
日本の四国ほどの面積のイスラエルは国内市場が小さく、現地のスタートアップは積極的に海外展開を模索する。ここ2~3年は米国市場の飽和などを背景に、中国などアジア市場への展開を図る若い企業が増えている。平戸社長は「技術寄りの思想が強く、エンジニアも若いため海外展開のノウハウや人脈がない。日本を足がかりにアジア展開を目指している」と説明する。
ジャコーレのイスラエル法人「ジャコーレ・ベンチャーズ」は昨年12月に設立、米アマゾン・ドット・コムやフェイスブックなどIT(情報技術)企業が多く入る高層ビルに入居した。現地の代表には、起業家支援のサムライインキュベート(東京・品川)でイスラエル拠点の立ち上げなどにも携わったヨニー・ゴラン氏(37)が就く。
(企業報道部 駿河翼)
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