2018年11月20日(火)

22歳が仕掛ける「アンバンドル」 自動運転、転換迫る
NextCARに挑む 米国からの波頭(上)

コラム(ビジネス)
スタートアップ
自動運転
(1/2ページ)
2018/1/17 6:30
保存
共有
印刷
その他

 世界2位の自動車市場である米国。1908年発売の「T型フォード」で量産技術を生み出した自動車大国は今、自動運転や環境といった次世代車の分野で、フロントランナーの地位を固めようとしている。今月開催の米家電見本市「CES」と北米国際自動車ショーはこうした技術の祭典となり、自動車産業にもたらす構造変化の大きさを印象づけた。

「時速120キロメートルの車が完全に停止するには、200メートル先の異常まで検知する必要がある」。CESが開かれた米ラスベガス。会場の一角でワゴン車に乗り込むと、センサーが捉えた周囲の様子を点画の要領で周囲を鮮明に映すモニター画面があった。大学生風の男性が説明を始めた。

ルミナーのラッセルCEO

ルミナーのラッセルCEO

この男性はレーザーを使った自動運転車の「目」、LiDAR(ライダー)の開発を進める米ルミナーテクノロジーズ(カリフォルニア州)のオースティン・ラッセル最高経営責任者(CEO)。物理を学ぶために進学した米スタンフォード大学を3カ月で中退し、17歳で起業。まだ22歳だ。

中核技術で覇権狙う

「自動運転の試験車両の速度が遅いのは、LiDARの検知できる距離が30~40メートルと短いから」(ラッセル氏)。大学中退後に米フェイスブックなどへの投資で知られるピーター・ティール氏の支援を受け、LiDARを一から開発した。主要部品の素材にインジウム・ガリウム・ヒ素を使うなどして「200メートルの壁」を越えた。

トヨタ自動車は自動運転実験車両にルミナーのセンサーを採用

トヨタ自動車は自動運転実験車両にルミナーのセンサーを採用

ルミナーには既にトヨタ自動車など4社が目をつけた。トヨタはCESで公開した自動運転の車試験車両にルミナーのLiDARを搭載し、それを公表した。「部品会社は黒子」という業界旧来の力関係はそこに無く、ラッセル氏も「パソコン時代の『インテル・インサイド』のようになりたい」と話す。

英IHSが見込む自動運転車の世界販売は、2040年で3300万台超。従来の自動車業界のプレーヤーは強力なセンサーや人工知能(AI)といった技術を持ち合わせておらず、スタートアップを含む「よそ者」には参入の好機だ。通信やIT(情報技術)業界が経験してきたような、既存の枠組みの解体や組み替えが起こる「アンバンドル」の波が自動車業界にも押し寄せる。

「100年続いたピラミッド型の自動車業界の構造が変わってきた」。電波を使う自動車向けレーダーを開発する米メタウエーブ(カリフォルニア州)のマハ・アシュールCEOはこう感じている。17年の発足で、CESは初参加。だが借り上げたホテルの1室には毎日100人以上が詰めかけた。

同社もまた200メートル先を見つめる。米ゼロックス傘下のパロアルト研究所(PARC)の技術を基盤に、素材の改良やAIの応用に取り組む。アシュール氏は無線などの分野の起業歴を持つ。

自動運転車の目としてはLiDARへの関心が高いが、アシュール氏は「検知距離や悪天候への対応などに限界がある」とみる。PARC出身者に加えて素材やAIといった分野から技術者を集め、およそ半年で15人の体制を作った。

  • 1
  • 2
  • 次へ

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報