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水瀬さん、人生を変えた1冊の本(投信ブロガー)

2018/1/22 12:00
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 IT(情報技術)企業に勤める投信ブロガーの水瀬ケンイチさん(40代男性、共働きの妻と賃貸住宅で2人暮らし)はブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」に、15年にわたって実践してきた指数連動型インデックス投資の内容を克明に記している。ブログ名はインデックス投資家のバイブルと称される「ウォール街のランダム・ウォーカー」(日本経済新聞出版社)にあやかったものだという。バイブルの教えを地で行きながら運用資産を積み上げている水瀬さんにインデックス投資のつぼを聞いた。

■人生を変えた1冊の本との出会い

 ――インデックス投資を始めたきっかけは。

 「投資開始は2000年ごろ。きっかけは医療系に勤務している友人との何気ない会話からです。老人ホームに入るのに『入居費用だけで数百万~数千万円。加えて月々十数万円はかかる』と知って、そんなお金はないと焦り、将来に向けた貯蓄と投資の必要性に目覚めました」

 「近所の図書館を巡り、投資コーナーの本を片っ端から乱読しましたが、その当時はまだインデックス・ファンドへの投資ではなく、個別の日本株をデイトレードなどで短期売買していました。株価が気になって、仕事に身が入らない日々でした」

 「そんな時にたまたま手にとったのが『ウォール街のランダム・ウォーカー』です。まえがきに書かれた『個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンドマネジャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを買ってじっと持っているほうが、はるかによい結果を生む』という一節に稲妻を打たれたような衝撃を受けました」

 「当時すでに、初版から30年の『時の洗礼』を受けてなお読み継がれているという重みには説得力がありました。同書が推奨する『世界中に分散したインデックス・ファンドを積み立て投資して長期保有する』というインデックス投資を始めた瞬間です。まさに私の人生を変えた1冊です」

■想定する最大損失額から弾かれる資産配分

 ――資産配分の考え方を教えてください。

 「資産配分はポートフォリオ全体の期待リターンとリスクの組み合わせを基にして決めています。まずは投資元本に対する最大損失額を想定し、その下落率が『期待リターンからリスクの2倍を差し引いた数値』を超えないような資産配分にしています」

 「現在の資産配分は、最大損失額の割合をマイナス20%強としたうえで、期待リターンが年率4.4%でリスクを年率13.6%として弾いたものです(図A)」

 「日本株や海外株など代表的な資産にどう配分したらポートフォリオ全体の期待リターンとリスクがどのように変わるかは、無料の公開サイト『ファンドの海』のシミュレーション結果を参考にしています」

 「最終的な資産配分の株式部分は世界の株式時価総額を参考にしながら、リスクとリターンのバランスを考慮して新興国株式の比率を少し増やすなどのカスタマイズを施しています」

 ――5年前に比べ債券の配分比率が増えているのは。

 「米リーマン・ショック時の急激な円高に直面し、為替リスクを取りすぎたと反省し、外国債券部分のほとんどは国内債券に入れ替えました。そのうえで、債券部分はポートフォリオのダメージへのクッションと考え、10年たつごとに10%ずつ配分比率をアップしています」

 「資産配分を元に戻すリバランスは毎年1回、お正月に行っています。所定の資産配分から大きく乖離(かいり)している資産クラスがある場合のみリバランスを実施。ただ資産配分が大きくずれるのはまれなので、リバランスする必要のない年が多いのが実情です」

■低コストの海外ETF(上場投資信託)を軸に投資

 ――どんなファンドを保有していますか。

 「比較的低コストでアクティブ(積極)運用する新興国株ファンドを1~2本保有したことがありますが、運用成績が市場平均を下回ったうえに、望まない高額の分配金を出してくるので、自分の運用スタイルには合わないと判断して売却しました。現在の保有は、内外債券以外はすべてETFとインデックス・ファンドのみです(図B)」

 「中でも米バンガードなどが運用する海外ETFを多く保有しています。日本の商品よりも、超低コストなうえにエクスペンスレシオと呼ぶ運用総経費率を毎年低減しているのが魅力です」

 「海外ETFが出す分配金は一時的にドル建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)に米ドルのままプールしておき、次回の海外ETF購入時に使います。海外ETFの分配金源泉税を還付してもらうには外国税額控除の手続きが必要ですが、何年も行っている確定申告の一部にすぎないので、特段面倒と感じたことはありません」

 「コストには徹底してこだわります。将来のリターンは不確実ですが、コストは確実なマイナス要因ですので、自分でコントロール可能なコストに注視するのは自然な考えと思います」

■積み立てとほったらかしのバイ&ホールドが決め手

 ――成功体験を感じていますか。

 「数十万円で運用を開始した金融資産が現在は数千万円に増えました。成功体験を感じていますが、インデックス投資を始めてからの15年の間には、アベノミクスや日銀の大胆な金融緩和で運用資産が1年で30%も増えたり、リーマン・ショックで資産が一気に半減したりするなど、天国と地獄の両方を体験しました」

 「成功の決め手は、毎月インデックス・ファンドを積み立て投資して持ち続ける『ほったらかし』のバイ&ホールドを継続したことに尽きると痛感しています。とりたてて何かをすることもなく、リーマン・ショックの数年後には元本回復のリカバリーができていたのです。現在は毎月十数万円積み立て投資しています」

 「資産運用をしてよかったです。資産形成ができたほかに、株式会社の仕組みや簡単な会計・ファイナンスの知識も得られました。しかも、ブログで情報発信することで投資仲間ができ、書籍の執筆や取材を受ける機会にも恵まれました」

■仕事に専念するうえでもインデックス投資がお薦め

 ――これから投資に踏み出す20代、30代の若い世代に何かアドバイスを。

 「まずは家計を黒字にして、まとまった預貯金(生活防衛資金)をためてから投資をした方が、遠回りに見えても結局は精神的余裕から投資を継続しやすいと思います」

 「生活防衛資金はたまっていないけれども、投資を始めてみたいという人は、その分、自分のリスク許容度を小さく見積もって、とても保守的な資産配分で投資を始めてはどうでしょうか」

 「若いうちは、株や債券といった金融資産への投資よりも、本業の仕事などでの自分の価値を高める方がずっと『コストパフォーマンス』がいいはずです。その点でも、投資にのめり込み過ぎないように、あまり手間がかからない『インデックス投資』がお薦めです」

 ――インデックス投資は銘柄選別コストを負担しない「フリーライダー(ただ乗り)」である、との考え方を知っておいた方が良いと思いますか。

 「アクティブ運用を敵視して『インデックス投資最強』と攻撃的になるのは行き過ぎで賛成できません。インデックス投資は『フリーライダー』という道義的な問題点も抱えており、アクティブ運用と共存して初めて成り立つ現実を認識しておくのは重要と思います」

■非課税制度活用の前に、リスク許容度の確認から

 ――積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)はどのように活用したらよいのでしょうか。

 「一般NISAもつみたてNISAも、どのファンドを選んで非課税枠をお得に使い切るという発想ではなく、まずは自分の投資スタイルを確立し、それに非課税枠をどううまく活用できるかという考え方で臨むべきです」

 「そのためには、(1)自分のリスク許容度を想定最大損失額から確認し、(2)期待リターンとリスクの組み合わせがその範囲に収まる資産配分を決定して、(3)できるだけコストが安いインデックス・ファンドを選定。(4)そのうえで、つみたてNISAや一般NISAに対象となる商品があれば、優先して非課税制度を活用。(5)必要となる商品、例えば『個人向け国債・変動10年』などがなければシンプルに通常の課税口座で運用。こういう順序で考えるとスッキリすると思います」 

(QUICK資産運用研究所 聞き手は高瀬浩)

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