/

新潟の「水と土の芸術祭」、港の歴史アートに

新潟創造人

新潟市で3年に1度開かれる現代アートの祭典「水と土の芸術祭」が7月に4回目の開催を迎える。街おこしの一環で芸術祭を催す動きが全国に広がるなか、どのように独自性を発揮するのか。総合ディレクターを務める美術評論家の谷新氏に話を聞いた。

水と土の芸術祭の総合ディレクターを務める谷新氏

――谷さんの経歴を教えてください。

「長野県出身で、宇都宮美術館長(宇都宮市)などを務めた。新潟とも縁が深く、県が主催して2004年まで開いていた『新潟アジア文化祭』の運営にも携わった」

――今回で4回目となります。どのような芸術祭にしたいと考えていますか。

「水と土の芸術祭は新潟の暮らしと関わりの深い自然をテーマに据えている。一見狭いテーマに思えるかもしれないが、表現方法は芸術家によって無限に広がる。見る人に新鮮な驚きを与えられるような芸術祭を目指す」

「特に今回は2019年に開港150周年を迎える新潟市を全国に発信する絶好の機会と捉えている。日本海側で有数の貿易港として栄えた歴史を物語る港湾施設や油田の遺構を生かした作品を多く展示したい」

――地域活性化に向けて芸術祭を企画する動きが全国に広がっています。

「多くの芸術祭は新しさにこだわり毎回テーマを変えて開催している。そのため地域の歴史や文化に根ざした作品が少なく、一貫性に欠ける。将来的にはこうした芸術祭は淘汰されてしまうだろう」

「芸術祭を成功させるには手つかずの廃虚や雑木林など、芸術家の関心をひき付ける素材が豊富にそろっていることが重要だ。新潟市内にはそういった場所がまだ多く残っており、ポテンシャルは高い。主催者側にはこうした素材を作品に生かせるよう規制を緩めたり住民に理解を求めたりするといった配慮が必要だ」

――現代美術の魅力はどのようなものですか。

「表現方法の自由度の高さが現代美術の魅力だ。絵画のように『美術館の壁に掛けられていなければアートではない』といった閉塞的な考え方を打破し、展示の場は屋外の至るところに広がる。その結果、より多くの人が芸術に親しみを感じやすくなったといえる」

――日本の現代美術が抱えている課題は何でしょうか。

「どんな作品にも時代背景が反映されており、記録として残すことは文化的な使命と考える。欧米の美術館では作品の記録をアーカイブ化して保存する取り組みが進むが、日本では全く普及していない。現代美術は所蔵にスペースをとる作品もある。『物として保存すべきだ』といった考えを捨て、作品の時代背景も分かるような記録として後世に伝える努力をしなければならない」

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン