社外取締役の義務化焦点 会社法改正試案 企業、提案制限は歓迎

2018/1/16 2:00
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法制審議会の会社法制部会がまとめた会社法改正の試案に対し企業や市場関係者からは総じて歓迎する声が多い。招集通知発送の前倒しで投資家の要望に応え、株主提案の議案数制限では「より多くの株主と実のある対話ができる」として企業に配慮した。一方で社外取締役の義務化については既に多くの上場企業が導入しているものの法制化されれば影響は大きく、今後の議論の焦点になる。

上場企業の9割以上が既に社外取締役を導入している。東証が2015年に適用したコーポレートガバナンスコード(企業統治指針)を受けて対策が進んだためだ。このため、あえて会社法を改正する必要はないとの声が多い。

それでも、法律に義務化を明記すれば「企業の監督役としての社外取締役の役割がより明確になる」(ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパンの小口俊朗代表)という利点がある。企業側が社外取締役との情報共有を増やしたり、社外取締役の意見をより尊重したりする姿勢の変化が期待できる。社外取締役側も責任感が一段と高まる効果も見込める。

ただ、一定の条件を満たした大企業であれば非上場会社でも適用対象になる。現在でも社外取締役の候補者は不足しており、法律で義務化されれば候補者の争奪戦が過熱しかねない。

取締役会の改革では社外取締役の比率など一定の条件を満たせば取締役会を経ずに重要案件を決められる案を示した。何が該当するかは今後の議論で詰めるが、主力製品の開発などが対象になるとみられる。

株主提案の議案数制限について企業側は総じて歓迎する。株主関連サービスのアイ・アールジャパンによると、2017年の株主総会で出された株主提案数は212件と前の年より45件(27%)増え、4年連続で過去最高を更新した。

企業は権利の乱用とみられる株主提案でも訴訟リスクを恐れ招集通知に入れる場合が多い。招集通知の再作成や弁護士費用など数千万~数億円の負担になることもある。

過去に特定の株主から同時に約20件の提案を受けた企業は「総会準備の負担が増えるうえ、当日の発言も提案者が中心となり他の株主が発言しにくくなる」と指摘。提案権の制限で「建設的な議論ができるようになる」と期待する。別のサービス業の企業も「提案件数を制限すれば乱用に対する企業側の解釈の余地が減り、株主の理解を得やすくなる」と話す。

投資家側も肯定的。ストラテジックキャピタルの丸木強代表は「上限が10個であれば権利を過度に制限することにはならない」とみる。国内大手運用会社も「膨大な議案の中に前向きな提案が埋もれてしまうリスクを減らせる」と話す。

ネットでの招集通知提供には「議案開示が早まれば賛否を議論する時間が増える」(アセットマネジメントOneの山口寛悟ESGアナリスト)と歓迎する。ただ、招集通知の発送が前倒しになれば企業の負担が増す恐れがある。

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