イラク首都で連続自爆テロ 38人死亡
治安懸念で復興に遅れも
【カイロ=飛田雅則】イラクの首都バグダッドで15日、自爆テロが続けて2回あり、イラク政府によると少なくとも38人が死亡、105人が負傷した。爆発は人々が密集する地域で発生し、死傷者は今後も増える可能性がある。現時点で犯行声明は出ていない。
15日朝、通勤時間帯で人々で混み合うバグダッドの中心部で爆発が発生した。現場付近には商業施設や住宅が密集する。イラク内務省によると、爆弾を付けたベストを着た2人の男が自爆したという。13日にもバグダッド北部の検問所を狙った自爆テロが発生し、死傷者が出ていた。
15日のテロ事件を受けてアバディ首相は、治安当局や情報機関の幹部との会合を開いた。アバディ氏は「潜伏するテロリストを捜し出し、住民の安全を確保する」と強調し、犯行に及んだテロ組織の特定を指示した。
現時点で今回の自爆テロについて、犯行声明は出ていない。AP通信によると、犯行グループは過激派組織「イスラム国」(IS)の旗を持っていたという。
ISは2014年に「国家樹立」を一方的に宣言し、イラクの3分の1程度を支配した。ISの勢力は一時、バグダッドの目前まで迫った。イラク政府は米国など有志連合やイランの支援を受けISを追い込んだ。戦闘の末、アバディ首相は17年12月、「イラク全土をISから解放した」とIS掃討作戦の完了を宣言していたばかりだ。
今回の事件でテロリストが潜伏していることが明らかとなり、イラクの治安情勢への懸念が高まっている。長期に及んだIS掃討で北部モスルなど主要都市のインフラは破壊された。今後もテロの攻撃にさらされれば、イラクの戦後復興は遅れ、地域の安定が脅かされる恐れがある。