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ゲノム編集で花粉ないスギ開発へ 森林総研

森林研究・整備機構森林総合研究所の西口満室長らは農業・食品産業技術総合研究機構などと共同で、狙った遺伝子を自在に改変できる「ゲノム編集」を活用した新たなスギの品種改良法を開発した。1~2年で品種改良できる見込みで、従来の人工交配よりも、手間を省いて狙った性質の品種を作ることが可能になるという。花粉の無いスギの開発を目指す。

ゲノム編集はさまざまな生物で応用する研究が進んでいる。針葉樹のスギはゲノム(全遺伝情報)が大きく、いまだに完全に解読されていない。そのためゲノム編集の応用が遅れていた。

研究グループは「クリスパー・キャス9」というゲノム編集の技術を使った。キャス9というたんぱく質が狙った遺伝子を切断する。スギの花粉を作る際に働く遺伝子を標的にした。

スギから採取したタネを培地の上で育てると、スギの細胞が増える。その細胞に特殊なウイルスでゲノム編集に使うたんぱく質を細胞内で発現させる遺伝子を導入した。抗生物質を使うと遺伝子の入った細胞のみを選べる。調べると標的の遺伝子が破壊できていることが確認できた。切断できた確率は低かった。

今後は、遺伝子を切断する効率が高まるように改良する。現状ではゲノム編集したスギは花粉を作るほど成長していない。花粉が飛ばないことを確認できるのは2019年になるという。

従来、花粉のないスギを品種改良で作る場合は、花粉を持たない突然変異のスギを普通のスギと交配させていた。突然変異のスギを探すことは難しく、交配して生育するのにも時間がかかった。突然変異のスギの性質が残るため、木材としての質がよくない可能性があった。ゲノム編集を使えば、1~2年で狙った性質に品種改良できる見込みだ。

ゲノム編集ならば品質のよいスギをもとに花粉のないスギを簡単に開発できる。他の遺伝子も破壊すれば、花粉が飛ばない以外の性質を持たせることもできるという。

内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)として実施した。

(科学技術部 福井健人)

[日経産業新聞 2018年1月16日付]

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