「肥だめ」発言、分断深める トランプ氏は人種差別否定

2018/1/15 16:51
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【ワシントン=川合智之】トランプ米大統領がハイチやエルサルバドル、アフリカ諸国からの移民を「肥だめのような国から来た人たち」と侮辱した問題が、米国の分断を一層深めている。批判を受けた国々や野党・民主党支持者らは発言を厳しく批判。今後米議会審議に影響が及ぶ可能性もある。ただトランプ氏は14日「私は人種差別主義者ではない」と主張し、どこ吹く風だ。

トランプ氏の発言は11日にホワイトハウスで開いた上院議員との会合で飛び出した。「肥だめ(shithole)」は直訳すると、不衛生な屋外の便所などを意味する。人前では使わない下品な言葉で、伏せ字で報じた米メディアもある。

会合に出席していた共和党のパーデュー上院議員は14日「大統領はその言葉を使わなかった」と指摘。ニールセン国土安全保障長官も「正確な表現は思い出せない」と弁明した。一方、民主のダービン上院議員はトランプ氏は「肥だめ」と繰り返し言ったと批判する。

トランプ氏本人も12日「私はそんな言葉を使っていない」とツイッターで発言を否定した。しかし米NBCニュースによると、トランプ氏は報道後、友人らに電話で「肥だめ」発言の反応を尋ねていたという。

発言で取り沙汰された各国は一斉に反発。アフリカ連合(AU)は12日の声明で「発言の撤回と世界中のアフリカ人への謝罪」を要求。ハイチ政府も「ハイチ移民への人種差別的な見方を反映している」と抗議した。

ハイチはアフリカから強制的に連れてこられた黒人奴隷らが1804年に宗主国フランスから独立した世界初の黒人共和国で、現在も人口の9割超が黒人だ。エルサルバドルは侵略したスペイン人と先住民との混血が大半を占める。

発言は特定の人種を名指ししたものではなかったが、国民のほとんどが白人である北欧のノルウェーから移民を増やすべきだとトランプ氏が主張したことも批判に拍車をかけた。全米黒人地位向上協会(NAACP)は「大統領は白人至上主義という醜い過去に米国を引き戻そうとしている」と非難した。トランプ氏は自身の支持層の一部でもある白人至上主義者を擁護する発言でたびたび物議を醸している。

移民政策などの与野党協議で民主党が反発する可能性もある。米議会が2017年12月に可決した期間約1カ月のつなぎ予算は1月19日に期限切れとなる。それまでに与野党が折り合えなければ、再び政府機関閉鎖のリスクが出てくる。今回の問題発言は、ただでさえ厳しい与野党の対立にさらに波風を立てる形になっている。

それでも、これまで数々の問題発言を繰り返してきたトランプ氏が問題発言を控える兆しはない。トランプ氏は2017年8月の南部バージニア州の衝突事件では女性を殺害した白人至上主義者側を擁護。トランプ氏は厳しい批判を浴びたが、結局、政権運営に目立った影響はなかった。

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