2018年4月23日(月)

チュニジア、緊縮策へのデモ継続 貧困対策提案へ
「アラブの春」から7年の試練

2018/1/14 21:00 (2018/1/14 21:18更新)
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 【カイロ=飛田雅則】北アフリカのチュニジアで物価高に抗議するデモが続いている。デモ隊が治安当局と衝突し、少なくとも1人が死亡。700人以上が拘束された。ロイター通信によると事態の収拾を狙い、チュニジア政府は貧困対策を打ち出した。政治・経済の改革を求めた民主化運動「アラブの春」で長期独裁が崩壊して14日で7年を迎えたチュニジアは、正念場に差し掛かっている。

 13日もチュニジアの各地で増税など緊縮政策に抵抗する大規模デモが続いた。先週、首都チュニス郊外で、デモに参加していた男性が死亡した後、デモは激しさを増した。ユダヤ系の施設に火炎瓶が投げつけられる騒ぎにも発展した。

 治安の悪化を受けて政府は全土に治安部隊を展開し、破壊行動の鎮圧に乗り出している。一方、野党や活動家は14日も抗議デモの継続を呼びかけた。くしくも14日は、民衆デモがベンアリ独裁政権を打倒した7年の節目にあたるため、デモの激化も予想される。

 政府は13日に約7千万ドル(約77億円)の貧困対策の実施を言及した。ロイター通信は「25万世帯が対象となる。貧困層や中間層の生活を支援する」との担当閣僚のコメントを伝えた。市民の不満が収まるかは、未知数だ。

 チュニジアではベンアリ政権の崩壊後、平和裏に民主体制に移行した。「アラブの春」の成功例と称されてきたが、15年以降、テロの発生で観光客が大幅に減少。産業の多角化は進んでおらず、15%台の高い失業率が続く。若者の失業率はもっと高く、雇用問題は改善していない。

 「アラブの春」は失業中の若者が野菜を路上で販売し始めたところ、警察が商品を没収。取り締まりに抗議し焼身を図った若者の死が発火点となり、独裁政権の打倒へと突き動かした。今も当時と変わらず、若者の高い失業率は続いたままだ。一部の特権階級が政治や経済を独占する社会に閉塞感はくすぶっている。

 そのためチュニジアは、シリアやイラクで猛威を振るった過激派組織「イスラム国」(IS)に約6千人と最も多い戦闘員を送り出したといわれている。5千人ほどが渡航を試みたが、直前で当局に察知され阻止されている。

 IS戦闘員が帰国する恐れもある。チュニジア国内には、受け皿となる過激派組織も存在するともいわれ、政府は取り締まりを強化してきた。今回のデモで混乱が拡大すれば、過激派組織につけ込まれる恐れがある。ただ、治安当局による取り締まり強化だけでなく、教育や就職などを含めた若者に対する長期的な対策が必要となっている。

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