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日本ツアーに軸足 石川遼が今後10年で目指すもの

 2008年1月、高校1年生でプロに転向後、12年まで国内ツアー、17年までは米ツアーを主戦場としてきた。10年間をひと区切りに、男子ゴルフの石川遼(26)は再び日本へ軸足を移す。18日開幕のSMBCシンガポールオープン(セントーサGC)で今季のスタートを切る新選手会長に話を聞いた。

まずはメジャーでトップ10入り

――6年ぶりに日本ツアーにフル参戦する。今季は何を目標に戦うのか。

「これまで成し遂げていないことを、次の10年で成し遂げたい。海外メジャー優勝、米ツアー優勝を。今までの10年を成績のうえで超え、メジャーで優勝することを目指してやっていきたい。そのためには、トップ10を2、3回は経験していかないと。(松山)英樹は何度もメジャーでトップ10入りしている。彼みたいにトップ10入りできる選手がメジャーで勝てる力のある選手。まずはメジャーでトップ10入りすることが目標。マスターズに3、4年と続けて出られるように。メジャーでトップ10入りの経験を重ねるためにどうやっていくか。それが今年だけでなく、長期的な目標になる」

「次の10年でこれまで成し遂げていないことを」と石川は語る

「(09年以来の)賞金王に、という考えはない。今年に限ってかもしれないが、日本で何勝したいとか、賞金王になりたいとかにはあえてフォーカスしていない。世界ランク50位以内、というのも見ていない。メジャーでトップ10入りが達成できれば、世界ランクもそれ相応になるはず。これまで年間4勝、2位と5打差が最高。今まで自分ができなかったこと、自己ベスト更新は大事にしたいと考えているが。僕がすごいと思うのは(池田)勇太さん。昨年メジャーに全部出て、日本も賞金ランク4位。日本オープンの優勝をみると、日本でのプレーはクオリティーが高かった。勇太さんは賞金王になっても満足していないな、というのがすごくみえた。そういう姿勢を今年、来年と続ければ、メジャーに勝てる力がどんどんついていくのではないかと思う。すごく参考になった」

「数字で気にするのは、自分のデータとメジャーでのトップ10入り。全ての技術のクオリティーを上げたい。米ツアーでは飛距離は平均より下。フェアウエーキープ率やパーオン率も低い。3番ウッドや2番アイアンのパーオン率も低く、ドライバーなどロングゲームの改善が大きな課題。僕はドライバーでフェアウエーキープができないからセカンドは刻むだけになってしまう。米ツアーはピン位置も難しいから、3打目も攻められない。パー5しかバーディーチャンスがないのに。ドライバー、3番ウッド、2番アイアンが平均をクリアできるようになれば。フェアウエーキープ率が平均まで上がれば米ツアーのシード権は取れると思う。3番ウッド、2番アイアンの精度が上がったら、フェデックスポイントランクも70位くらいまで上がるなという感じはある。それではまだ勝てないだろうが、次は100ヤード以内の精度やリカバリー率を上げ、ロングパットを入れる確率を高めるとか……。米ツアーでのプレーの感覚は体に染みついている。今週のドライバー、アイアンの感覚なら米ツアーでも平均を超えているなとか。日本でプレーしているときでも常にメジャーを意識してやっていきたい」

中日クラウンズ、前半戦の山場

昨秋の日本オープンから始めたスイング改造の完成度は?

「日本オープンからずっとゼロ。(6戦目で予選通過した)ダンロップフェニックスが20%、(2位に入った)カシオワールドで40%に。今は50%。あとは試合の中で研ぎ澄まされていく感覚があるので。はまってくれば日本ツアーでも勝てると思う。シンガポールオープンではドライバーが楽しみ。コースが狭くて、池が絡むホールが多いと聞いている。ミャンマーの後は(欧州・アジアツアー共催の)メイバンク選手権(マレーシア)に出る。3試合目でレベルも高いし、今後の参考になるかと。4月までには70~80%にしたい。大好きなコースの中日クラウンズが前半戦の山場になるか」

「スイング改造のポイントはやはりフォロースルー。ヘッド軌道とよくいわれるけれど、手のプレーン、肩が通るプレーンもある。ヘッドと肩のプレーンが大事。フォローで右肩が起きるのが早いのが僕の悪い癖。どうしてもボールに合わせて浮いてしまう。ダウンスイングで右肩が低い位置に入ってフォローでいいところに収まってくるようにしたい。ようやくカシオでボールに合わせなくなり、それが結果につながった部分がある」

飛ぶことより曲がらないことが重要と感じている=共同

――フェアウエーキープ率が高くなれば、日本で勝つのは難しくないのでは?

「自分でも毎日そう思っている(笑い)。ただ賞金王になるゴルフと、メジャーでトップ10入りするゴルフは違うと思う。日本で一生やっていくと決めたらドライバーを抜いていく方策もある。もしかして(契約先の)キャロウェイに1番アイアンみたいなものを作ってもらうとか。どうしても僕はアイアンが好きなので。ただそのゴルフでメジャーならどうなのかと。距離が7700ヤードになったときにティーショットをアイアンでばかり打ってたら、セカンドは3番、4番アイアン。グリーンは硬いし、ピンは狭いところに切ってあるから、たとえば4番アイアンならピンが右だと左しか狙えない、となる」

「米ツアーでは僕は飛ばない部類。最近では飛ぶことより、曲がらないことが重要だと感じている。飛ばなくても勝っている選手は基本的に(ティーショットが)曲がらない。ジョーダン・スピース、ザック・ジョンソン、スティーブ・ストリッカー(いずれも米国)のゴルフを見ていると心強い。体(の大きさ)じゃないし、飛距離じゃない。彼らは身をもってそれを証明してくれている。自分もそっち側にいきたい。細くて飛ばない人に希望を与えられるような選手になりたい。今後10年でどれだけ曲がらない技術を身につけるかが大事になってくる。それでも、飛ぶ選手に比べバーディーパットの距離は1、2メートルは離れるし、セカンドの番手は2、3番手違う。僕が7番アイアンで打つとしたら、英樹は9番かピッチングウエッジ。ミドルアイアンの精度も高めないといけないし、パットの精度も高めないと。それができれば対等に戦えるのでは。英樹のピッチングと戦えるような精度の8番アイアンを打てるようにならないと。『メジャーに向けて順調に進んでいるな』という感覚が得られたときは、おのずと日本でも優勝がついてくると思う。そうじゃないと確信も生まれないから、日本ツアー優勝も大事」

石川(左から2人目)は日本ゴルフツアー選手会の新会長に選ばれた=共同

ファンにとって重要な存在に

――今後2年間、選手会長として日本ツアーを引っ張るが、いつごろから危機感を?

「(プロ入り後も)高校生のころは社会人として勉強不足だった。4、5年目あたりで、ゴルフ観戦というのは、ファンの人にどう思われているのだろうかと気になるようになった。(選手とギャラリーを隔てる)ローピングの位置とか。ファンに楽しんで見てもらえているのだろうかと。選手会長になったら、JGTO(日本ゴルフツアー機構)の理事会などにも出たりして話し合い、(考えていたことを)いろいろ具現化できるのではないかと思う。未知の世界だけれど……。自分の場合、気持ちだけ。日本のゴルフ界をもっとよくしていきたい。ファンの人にとって(ゴルフが)重要な存在になりたい。サッカーや野球はチームが地域に根付いて地域を活性化し、経済効果も生まれている。社会貢献も大きい。(人気回復は)ゴルフも社会貢献やチャリティー、ジュニア育成に努め、社会に必要とされるような重要な存在になれるかにかかっていると思う」

(聞き手は吉良幸雄)

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