2018年10月24日(水)

バルト3国と連携強化 視線の先には対ロ関係

2018/1/14 1:00
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【リガ=山崎純】欧州歴訪中の安倍晋三首相は13日、ラトビアのクチンスキス首相とリガの首相府で会談した。その後、リトアニアのスクバルネリス首相とも会談し、エストニアを含めたバルト3国への訪問を終える。3国への訪問は日本の首相で初。視線の先にあるのは、対ロシア関係を踏まえたバランス外交だ。

「法の支配に基づく国際秩序が挑戦を受けるなか、これを維持・強化すべく緊密に協力する」。安倍首相は12日(日本時間13日未明)、日エストニア首脳会談後の共同記者会見で強調した。エストニアのラタス首相がウクライナに侵攻したロシアへの制裁維持を訴えたのを受けた発言で「名指しはしないがロシアへの厳しい姿勢をアピールした」(政府関係者)。

今回のバルト3国訪問の背景にはロシア政策をめぐる狙いがある。「日本がロシアに甘いという誤解を解きたい」。外務省関係者はこう語る。

バルト3国は小国だが、国境を接するロシアを巡る問題では一定の発言力はある。北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)の一員であり、ロシアによるウクライナ南部クリミアの併合後にはNATOが部隊を展開し、欧米の対ロ抑止の最前線となった。第2次世界大戦ではソ連に強制的に併合された歴史もあり、ロシアへの反感は根強い。

それだけに、日本の対ロ政策が「融和的」と反感をもたれる恐れはある。日本は北方領土交渉でロシアから前向きな態度を引き出したい思惑から、共同経済活動や極東での経済協力の検討を進めている。対ロ制裁に動く欧米各国で批判が広がれば日本が国際社会で孤立するリスクもはらむ。

「首脳会談で安倍首相は日本の最近の対ロ政策を丁寧に説明していた」。会談の出席者は語る。安倍首相が会う機会が多い主要国首脳だけでなく、ロシア問題に深く関わる3国のトップにも日本の思いを直接語りかけ、国際社会での理解の輪を広げていく狙いだ。

バルト3国はもともと日本への感情は悪くなく日本語教育が比較的盛んな地もあるという。首相はリトアニアでは第2次世界大戦時にユダヤ人へのビザを発給し続けた外交官、杉原千畝氏の記念館を訪問する。こうした交流を通じ日本との関係の深さを訴える考えだ。

今回の訪問では北朝鮮問題での連携も確認した。「北朝鮮はタリンも射程に収める弾道ミサイルを発射した」。安倍首相は共同記者発表でわざわざエストニアの首都の名前を挙げ危機感を訴えた。ラタス首相も「我々は傍観者であってはいけない」と応じ北朝鮮の核武装は認めず圧力を最大限高めることで一致した。

安倍首相はバルト3国への訪問後、ブルガリア、セルビア、ルーマニアの各国で首脳会談を行い17日に帰国する。

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