2019年4月25日(木)

産業ロボ、爆買い止まらず 年間生産 初の1兆円へ

2018/1/12 23:00
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日本ロボット工業会は12日、2018年の産業用ロボットの生産額(非会員を含む)が前年比1割増え、初めて1兆円に達する見通しだと発表した。日本工作機械工業会も2年連続で過去最高の受注額を見込む。中国を中心に人手不足や賃金高騰で工場の自動化ニーズが拡大。昨秋の失速懸念を乗り越え、爆買いの勢いが増している。空前の活況に死角はないのか。

12日、都内で開かれたロボット業界の賀詞交歓会は熱気に包まれていた。挨拶に立ったロボット工業会の稲葉善治会長(ファナック会長)が17年の生産実績について16年を3割上回る約9千億円になったようだと明かすと、会場にどよめきが走った。18年はそれを上回る大台達成を見込む。

稲葉氏は「順調にいけば3~5年で2兆円にいくのではないか」と強調。「需要拡大は今後5年なんてものじゃない。2兆円も通過点だろう」と最後まで強気だった。

けん引役は今年も中国だ。「注文がさらに増えている。不安材料はいまのところない」(川崎重工業の橋本康彦ロボットビジネスセンター長)、「中国需要は衰えない。まだ全くの白紙だが、今後設備を増強をするならやはり中国だろう」(安川電機の小笠原浩社長)といった声が相次ぐ。

旺盛な需要を取り込むため、ファナックは茨城県筑西市に約630億円を投じ新たなロボット工場を建設中。月産規模は最大4千台で、フル稼働すれば全体の生産能力は現在の1.5倍以上になる見込みだ。三菱電機も6月から中国でロボットの生産を始め、日本と合わせた能力を16年度比1.5倍に引き上げる。

中国の需要が盛り上がったのは人手不足の深刻化が主因だった。最近では製造品質向上の面からロボットを導入しようという動きが強まっている。電子機器の受託製造サービスではスマートフォン(スマホ)に加え、サーバーやAI(人工知能)スピーカー、電気自動車向け部品などの組み立てでロボットの活用が広がっているという。

11日には日本工作機械工業会が18年の受注額見通しを公表。過去最高だった前年を上回る1兆7千億円を見込むが、飯村幸生会長によると「スマホ向けの需要をそれほど織り込んでいない」という堅めにみた数字だ。飯村氏は「大手だけでなく中小にも仕事が回ってきている」と活況の広がりを指摘した。

一方で「今の状態はバブル」(機械メーカー幹部)との声があるのも事実だ。中国が金融引き締めなどに動けば需要が大きく落ち込む可能性はある。為替の急変や政変、紛争など予期できないリスクは少なくない。工作機械業界にはリーマン・ショック後に受注額がショック前の4分の1に急減した苦い経験もある。

中国の機械メーカーが力を付ければ、需要の奪い合いも激しくなる。工場の機器をインターネットに接続して管理する取り組みなどで、日本勢は海外メーカーに先行を許していると指摘される。飯村氏は「浮かれている場合ではなく、いかに日本製品を差別化していくかが重要」と話す。

ロボット業界では「システム構築の専門家不足がネックになる」との声もある。AIの普及で車や家電に変革が起きているように、産業機械にも進化の波は容赦なく押し寄せる。活況を持続させるために取り組むべき課題は少なくない。(井沢真志、増田有莉)

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