2018年9月19日(水)

ホンダの次世代ロボ、異業種が自由に設計
発想は1億台の「カブ」

2018/1/12 5:13
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 【ラスベガス=工藤正晃】ホンダが次世代ロボットの開発・普及に向け、異業種と幅広く手を組む「オープンイノベーション」を鮮明にする。人工知能(AI)や容量を変えやすい新型電池を搭載し、自走するベビーカーから移動カフェ、農業機械などに自由に設計できる。幅広い異業種がソフトやハードを変更できるプラットフォームにし、データビジネスへの布石も狙う。発想は開発者がみた二輪車、スーパーカブを使う生活者の姿にあった。

ホンダは次世代ロボットをCESの主役にした(米ラスベガス、11日)

 「この子にあいさつしてみて」。米ラスベガスで開催中の世界最大の家電見本市「CES」のホンダのブース。11日に開かれたデモの主役は自動車や二輪ではなく、ロボットだった。撮影されていたのは丸みを帯び、喜怒哀楽をみせるコミュニケーションロボット。人の感情を読み取り、データを蓄積し、表情や音、動きで友達のような存在になる。「生活に溶け込めるように子どもが抱きついてもけがをしないように柔らかくした」(ホンダ)

 ほかに箱形や大きいタイヤのロボットも展示した。いずれもデザインがシンプルだが、そこに異業種を呼び寄せる狙いがある。中型の箱形ロボットは中を冷蔵庫に改造して飲食販売に使ったり、移動型のDJブースにしたりできる。小型のロボットはベビーカーやカート、大型は消防や農業向けなどに変身する。利用者の感情や嗜好を学ぶAIが共通で載り、クラウドでデータを集め、異なるロボットにも反映できる。小売りや外食、レジャー、音楽、行政、起業家らがソフトや付属品を自由に設計できる。

 開発者の本田技術研究所R&DセンターXの鶴見真伸主任研究員は「発想の原点は新興国でみたカブ」と話す。カブは1958年に発売し、シリーズの累計生産は世界中で1億台を超える。鶴見氏はこのカブを改造した二輪車で、カンボジアで牛を運んだり、インドで一家全員が乗ったりする光景をみて「技術者の独善的な使い道じゃなく、生活者や起業家がアイデアを反映しやすいプラットフォームでないと普及しない」と考えた。

 ロボットに積む新しい小型電池「モバイルパワーパック」は持ち運びができ、1分以内に入れ替えできる仕組みだ。個数によって電池容量を変えることができる。外の企業が採用をしやすいように太陽光や風力など地域エネルギーで発電した電気を蓄える装置、コンビニエンスストアなどに置く充電装置も開発した。

 新技術でもスタートアップとの協業が増える。CESでは、精神状態に合わせて自動運転の方法を変える技術を開発した米ブライクなど、スタートアップ6社の試作品を展示。米シリコンバレーだけでなく、イスラエルや中国、欧州などの起業家も支援する。ホンダは創業者の本田宗一郎氏の理念から独創精神が強かったが、AIの進化やシェアエコノミーの台頭で産業構造が大きく変わり、単独での取り組みには限界も見えてきた。次世代ロボットのコンセプトはホンダの原点と変化の両面を表している。

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