2018年6月24日(日)

マツダ、背伸びの増産投資 米工場発表 トヨタ依存深く

2018/1/11 23:00
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 マツダは10日(日本時間11日未明)、トヨタ自動車と米アラバマ州北部に完成車工場を建設すると発表した。約16億ドル(約1790億円)を折半出資し、単純計算で年15万台の能力増となる。だがメキシコ工場の稼働率が8割を下回るなか過剰感は否めない。投資に見合った成果を出すには販売てこ入れなどが不可欠で、トヨタ依存がさらに強まる可能性が高い。

10日、歓迎式典で挨拶する豊田社長(右)と小飼社長(左)ら(アラバマ州モンゴメリー)

 「念願の米国で工場を立ち上げ、生産と販売を本格化させる」。アラバマ州で10日開かれた歓迎式典。トヨタの豊田章男社長とともに出席したマツダの小飼雅道社長はこう力を込めた。

 新工場の稼働は2021年の計画で、マツダは米フォードとの合弁生産から撤退した12年以来の再進出となる。だが、誘いのあった20近い州のなかから選んだアラバマは、マツダにとって最善とはいいがたい立地だ。

 マツダ系の主要部品メーカーは、14年に稼働したメキシコ中部グアナフアト州の工場周辺に進出しており、新工場とは2千キロメートル以上の距離がある。かといって改めて新工場近くへの進出を促すには生産規模が中途半端だ。ある部品メーカーの幹部は「米国に進出するには10万~15万台では量が少ない」と話す。

 一方のトヨタは新工場から車で30分の距離にエンジン工場を構え、隣接するミシシッピ州にも工場を持つ。周辺にはデンソーなどの生産拠点もあり、豊田社長は「トヨタの従業員にとって(アラバマは)既にホームタウンだ」という。マツダ幹部は「(立地選びは)トヨタ主導ではない」と強調するが、環境の差はあきらかだ。

 投資を決めたタイミングについても、マツダ社内には「少し早いのでは」との声がある。生産能力25万台のメキシコ工場の稼働率が低迷し、生産車種の入れ替えなどで改善を図っている最中だからだ。販売が伸びていけば問題はないが、マツダの米国販売は17年に約28万台と前年を3%程度下回ったもよう。市場も調整局面に入りつつあり、販売の環境はむしろ厳しくなっていく。

 当面はトヨタと生産車種を調整し、マツダ車の供給過剰を抑制することも念頭に置いているもよう。しかし、それでは8億ドルに上る巨額投資の効果を最大限に発揮しているとはいいがたい。マツダは19年から新型エンジンを投入する計画で、18年度には設備投資額が過去最高の1500億円超になる見通しだ。ここには米工場への投資は入っておらず、さらに膨らむ投資負担に耐えられるのか。

 マツダとトヨタの提携関係が始まったのは8年前。15年には包括提携に発展し、17年8月に相互出資の資本提携と米国の共同工場を決めた。技術供与から共同開発、共同生産と進んできたトヨタとの協業。依存はどこまで進むのか。背伸びともいえる増産投資に踏み切った北米の成否によっては、新たな再編が動き出すかもしれない。

(モンゴメリー〈米アラバマ州〉=湯沢維久、後藤健)

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