2018年12月13日(木)

月面への挑戦難航のHAKUTO、期限の延期要望

2018/1/11 15:37
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米グーグルが支援するXプライズ財団が主催する月面探査レースに参加しているHAKUTO(ハクト)の袴田武史代表が11日、東京都内で記者会見し、当初レースの期限とされた3月末までの打ち上げを断念すると正式に発表した。今後は財団側にレースの期限延期を打診するなどして、3月以降での月面到達を目指すという。

関係者が見守る中、記者会見に臨むHAKUTOの袴田武史代表(11日午後、東京・港)

「Xプライズ財団に期限の延期を要望している。すでにコミュニケーションは取り始めた」。会見で袴田代表は硬い面持ちでこう話した。ハクトは、月面探査スタートアップのispace(東京・港)が中心となって結成された月面探査レースのプロジェクトチームだ。KDDIやスズキなどが支援している。

インドの探査チーム「チームインダス」が開発する月面着陸機に相乗りし、インドのロケットPSLVで打ち上げて月を目指す計画だったが、チームインダス側とロケットを打ち上げるインド宇宙研究機構(ISRO)との交渉が難航し、3月末までの打ち上げが不可能になったという。「資金難と開発の遅れが原因だと推測している」(ハクト関係者)という。

月面でのレースにはハクトを含め、世界各国の5チームが月を目指していたが、現時点で各チームとも打ち上げ日程が明確になっていない。期限が3月末に迫っており、月面での探査機の走行などの期間が必要なだけに、各チームとも瀬戸際のスケジュールだ。

財団としても期限を延期できなければ勝者が決まらない可能性もある。ハクトは「延期の可能性はある」(袴田代表)と見て、交渉を続けるが、先行きは不透明なままだ。

スタートアップによる宇宙への挑戦は、外的な要因で困難になることが多い。2017年11月にも、宇宙ゴミ(デブリ)回収スタートアップのアストロスケール(シンガポール、岡田光信最高経営責任者=CEO)が打ち上げたデブリ観測衛星も、ロシアのロケット打ち上げの失敗の影響で失われた。「もらい事故」の様相も否めないが、衛星や探査機の開発は膨大な資金がかかるため「運が悪かった」では片付けられないだろう。ハクトは今後もチームインダスが打ち上げるロケットに相乗りする方向で進めていくという。

ハクトの中心を担うispaceは、20年までに月面着陸ができる探査機の打ち上げを計画している。ハクトの取り組みとispaceの計画は直接関係しないが、ispace単独での探査を前に、月面探査の技術的な実証を済ませておきたいという狙いもあった。

袴田代表は「チャレンジをあきらめたわけではない。ハクトは7年間やってきていろんな困難があったが一歩ずつ前進することで乗り越えてきた。大きな山だが、必ず解決したい」と話した。

(企業報道部 矢野摂士)

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