投信、高成長・長期運用にシフト 「毎月分配」は苦境に
17年の会社別資金流出入ランキング

2018/1/10 20:00
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投資信託市場が転換期を迎えている。これまでヒット商品だった毎月分配型が資金流出に転じ、個人投資家のマネーは高成長が期待される人工知能(AI)・ビッグデータの投信に向かう。「貯蓄から資産形成」の機運の高まりで長期運用に適した投信も堅調。個人は投信の選別を強め、運用会社の明暗もくっきり分かれつつある。

17年は高成長が期待できるテクノロジー関連投信に資金が集まった

2017年は上場投資信託(ETF)を除く追加型株式投信全体で差し引き2兆7114億円の資金が流入した。残高は増勢が続いており、投信は個人の資産形成の柱として根付きつつある。

QUICK資産運用研究所が算出した運用会社別の流出入をみると、個人が関心を寄せた投資テーマが浮かぶ。AIなどテーマ型投信を投入した会社が好調だった。

資金流入額が最大だったのは3701億円の流入超となった大和証券投資信託委託。15年末に投入した「ロボット・テクノロジー関連株ファンド」に個人資金が継続的に流れ込んでいる。「他社で同じようなファンドが少ない中で投入したのが大きい」(岩崎論マーケティング企画部長)。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントもビッグデータを活用して世界の株式に投資する投信の販売が伸びた。

低金利による運用難もあり、比較的高い成長が見込める海外資産に資金を振り向ける個人は多い。世界の債券に投資する野村アセットマネジメントの「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド Aコース」は個別投信で17年の流入額が首位だった。高い経済成長が続くインド株投信も残高は6000億円に迫る。

若年層の投資掘り起こしにも各社は力を注ぐ。17年から個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の対象者がすべての現役世代に拡大。長期の資産形成へ積み立て投資を始める個人が増えている。ドイチェ・アセット・マネジメントによると、投信の平均保有期間は16年が3.2年と7年ぶりの長さとなった。

独立系のレオス・キャピタルワークスは投資初心者の資金獲得で先行する。旗艦投信の「ひふみプラス」は、堅調な運用成績や低コストなどをアピールし、個別投信での流入額は2位となった。

一方、投信市場でこの10年ほど主役だった「毎月分配型」は苦境が著しい。分配金が生活費の足しになると高齢層の需要をつかんだが、金融庁が元本を取り崩す過度な分配を問題視し状況は一変。運用成績が振るわず減配に動く大型投信も相次いだ。三菱アセット・ブレインズによると17年の資金流出額は11月までで9139億円と1998年以降で最大だった。

フィデリティ投信は毎月分配の需要をつかみ16年は流入額1位だったが、17年は流出額1位に転落した。投信の残高首位だった毎月分配型の「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」の解約売りが相次ぎ、運用残高は1兆円を割り込んだ。新弘行副社長は「長期の運用実績のある米国株ファンドの投入を計画中」と話し、商品戦略を見直す。

18年以降について市場では「長期投資が広がる中、手数料に見合った運用実績をあげる投信が一段と求められる」(ドイチェ・アセットの藤原延介資産運用研究所長)との声が多い。投信が浸透するにつれ、個人の選別眼は厳しくなる。

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