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帝京大ラグビー9連覇、「見えない敵」に打ち勝つ

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2018/1/10 18:00
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 ラグビーの大学選手権で9連覇を果たした帝京大にとって、今シーズンは過去にない壁に立ち向かう一年でもあったようだ。明大を21―20で下した決勝の前日、岩出雅之監督が話していた。「今年は自分たちに矢印を向け、見えない敵を探そうとやってきた」

「打倒社会人」の目標なくなり

 そうせざるを得なかった理由がある。今年度から日本選手権への大学の出場枠が廃止。昨季までの「打倒社会人」の旗を掲げることができなくなったからだ。

 「常に社会人を意識したり、ボコボコにやられるかもしれないという『公の場』があることはいい緊張感になっていた。そういう意味では今季後半(難しさを)感じた」と監督。堀越康介主将も言う。「昨季までは練習中も『これじゃトップリーグに勝てないぞ』という声が出ていた。今年は目標が薄れるところはあった」

 9年連続の大学日本一も立派なゴールだが、社会人撃破に比べるとハードルは下がる。そのままでは選手の目線を高く保つのは難しい。

 監督が打った手。それは新たなチームのテーマとして「エンジョイ」を掲げることだった。「ラグビーをスキルの部分で楽しむのではなく、心から楽しんでプレーする。楽しむことの『深さ』を追求してほしかった」

帝京大・岩出監督は今季、「エンジョイ」をテーマに、楽しんでプレーすることを選手たちに求めた=共同

帝京大・岩出監督は今季、「エンジョイ」をテーマに、楽しんでプレーすることを選手たちに求めた=共同

 言葉だけなら抽象的に聞こえるが、練習中からピンチで耐え抜いたり、劣勢の試合をひっくり返したりする場面などを想定。それぞれの場面を楽しみながら、力を十分に発揮できるように心がけてきたという。

 学生自身も頭をひねった。「全員が個人で高い目標を立てることにした」と堀越主将。Aチーム(1軍)なら日本代表やスーパーラグビーのサンウルブズに入って活躍すること。Cチームの選手でもトップリーグ入りを照準にしてきた。

 それでも緩みかねない気持ちを引き締めるのは難しい。「個人の目標は目に見えないものなので、求めるスタンダードを自分で高くできることもあれば、低くなってしまうこともあった」と堀越主将は振り返る。

 大学の日本選手権優勝は1987年度の早大以来なく、その出場枠廃止は長らく議論されてきた。ただ、岩出監督は「学生は(大学選手権後の)1月から2月で意外に伸びる。日本の将来を担う若手を育成するうえで、(トップリーグとの)試合までのプロセスに価値があった」と語る。トップリーグが移行を目指している新リーグでは大学も参加するカップ戦を創設する方向。開催時期などを工夫してぜひ実現してほしいものだ。

決勝の明大戦、後半に本領

 いずれにせよ、最大の目標の喪失は、今季の帝京大の性格にも影響したようだ。「手を抜いているわけではないのだが、どこかで優しさが出てしまう」と監督は今季のチームの特徴を語る。

 実際のプレーとして表れたのが、明大との決勝の前半だったかもしれない。簡単な落球にパスミス、不要の反則……。王者らしからぬ失策が相次いだ。

 密集戦での攻防やタックルで受け身に回ったことも、選手の判断を狂わせた。我慢して攻め続ければ崩せそうな場面でキックを選択。その精度が低く、逆に後退させられる場面が多かった。

 WTB竹山晃暉は話す。「明大のディフェンスにプレッシャーを感じて裏に蹴ってしまったところがあった。『キックを使いすぎずにFWで粘っていこう』と声を掛けていたのに、前半では修正できなかった」

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