2018年8月15日(水)

木も水も不要、中東に「石の紙」 TBM・山崎社長

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科学&新技術
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2018/1/10 6:30
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 石を原材料にする製品は大理石から宝石類まで数多いが、硬くて冷たい触感は共通する。TBM(東京・中央)が手掛けるLIMEXは石灰石を原料にした新素材。しかし手で触れてみると、紙のような樹脂のような柔らかい手触り。「紙やプラスチックの代替品として世界の環境問題に貢献したいんですわ」。山崎敦義社長(44)は、親しみやすい関西弁で、夢を語る。

■名刺やメニュー、1500社採用

中東バーレーンを訪れた山崎社長

中東バーレーンを訪れた山崎社長

 「この名刺も『LIMEX』でできてますよ」。山崎社長が差し出した名刺は、少しつるつるした紙の手触りだ。LIMEXは、石灰石の粉末にポリプロピレンなどの樹脂を混ぜ、高温で伸ばして作る。水に強く、破れにくい性質も持つ。

 名刺を裂こうとしたがフチにしわが寄るだけで破れない。現在宮城県白石市の工場で量産中で、2017年末までに1500社を超える企業が名刺や飲食店のメニュー表などで活用している。

 「日本は島国ですからあんまり水資源の不足は叫ばれませんけど、内陸の国ではかなり深刻ですよ」。山崎社長が念頭に置くのは、世界の環境問題だ。紙の生産には大量の木材が求められる。また、繊維の洗浄にきれいな水が必須だ。1トンの紙を作るために約100トンもの水が必要になる。

 「世界には雨が降らず樹木がない地域もある。紙は大変貴重な資源」(山崎社長)。LIMEXは原料に木と水を使わず、製造段階でも水をほとんど使用しない。リサイクルもしやすい。

 事実、中東での引き合いが強い。17年3月にはサウジアラビアの国家産業クラスター開発計画庁と、現地にジョイントベンチャー(JV)を設立して、工場建設の交渉を進める覚書(MOU)を締結。地中海に浮かぶマルタやモロッコなどからも声がかかる。

 11年のTBM設立まで数社を起業した山崎社長のスタートは異色だ。大阪府岸和田市の中学校を卒業後、大工の見習いになった。「家とか大きなモノを造る仕事に憧れたんですよね」と振り返る。その後20歳で中古自動車販売会社を起業したが、翌年に阪神大震災を体験。「社会に貢献できる経営者になりたい」との思いを強くした。

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