2018年4月25日(水)

東京理科大、容量低下抑える電解液 カリウムイオン電池

科学&新技術
2018/1/10 6:30
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 東京理科大学の駒場慎一教授と大学院生の保坂知宙さんは次世代の蓄電池のひとつとして期待される「カリウムイオン電池」の容量低下を抑えるイオン濃度が高い電解液を開発した。リチウムイオン電池と比べて、高出力で安価な電池の実現につながる。今後、基盤技術を確立したうえで電極と組み合わせた電池を試作する。

東京理科大の駒場教授はナトリウムやカリウムを利用した蓄電池の開発を進めている

東京理科大の駒場教授はナトリウムやカリウムを利用した蓄電池の開発を進めている

 カリウムイオン電池の主な構造は、電気自動車(EV)などの電源に使われるリチウムイオン電池とほぼ同じだ。リチウムイオンの代わりにカリウムイオンが正極と負極の間を行き来することで充放電する。

 研究チームはカリウムイオン電池の電極材料を開発していたが、充放電を繰り返すと劣化して容量が低下する問題があった。そのため、イオンの濃度が高い「濃厚電解液」を開発した。

 濃厚電解液は電子などとの反応で電極が劣化するの防げると期待されており、様々な材料で検討が進められている。複数の種類を試作して解析したところ、ジメトキシエタンと呼ぶ有機溶媒ではカリウムイオンが動きやすいことが分かった。

 カリウムイオンが出入りしやすい電極材料でこれを使った濃厚電解液を試した。正極に使えるプルシアンブルーと呼ぶ材料で充放電を約300回繰り返すと、容量を95%維持できた。通常は急速に容量が低下するという。負極材料に使う黒鉛はほとんど劣化せず、ほぼ100%の容量を保っていることが分かった。

 プルシアンブルーは鉄やマンガンなどの安価な物質でできている。コバルトなどの高価なレアメタルを正極材料に含むリチウムイオン電池に比べて、安価な電池ができるとみている。

 カリウムは、同じアルカリ金属と呼ばれる元素のリチウムやナトリウムに比べて溶媒を引き寄せる力が弱く、イオンが自由に動きやすい。カリウムに置き換えた電池ができれば出力が向上し、EVの加速や発進など走行性能が高まる。充電時間も短縮できる。価格高騰が続くリチウムを使わずに済む利点もある。

 現在は昭和電工と協力して研究を進めている。今後、劣化をさらに抑えられる電解液を開発して電池を試作し、実用化を目指す。

(科学技術部 遠藤智之)

[日経産業新聞 2018年1月10日付]

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