カヌー鈴木選手、パドルなど窃盗疑い 石川県警が捜査
カヌー・スプリントの鈴木康大選手(32)がライバル選手の飲料ボトルに禁止薬物を混入させた問題で、鈴木選手が2010年ごろから他選手のパドルやカヌーに取り付ける全地球測位システム(GPS)発信機を盗むなどの妨害行為を繰り返していた疑いがあることが9日、分かった。石川県警が傷害と窃盗の疑いで捜査しているという。

日本カヌー連盟(東京・渋谷)によると、鈴木選手は10年ごろから石川県小松市内の競技場などで、ライバル選手のパドル、練習で艇の速度を測るGPS発信機や現金を盗んだり、パドルを傷つけたりしていた疑いがあるという。
被害に遭ったのは薬物混入の被害にあった小松正治選手(25)を含む数人で、いずれも鈴木選手と近いレベルの選手。鈴木選手は連盟の聞き取りに対し、盗んだ行為などを認めているという。
小松選手は薬物混入とGPS発信機の盗難について石川県警小松署に被害届を提出。県警が捜査を進めている。
連盟は県警の捜査結果を踏まえ、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が科した8年間の資格停止処分とは別に、鈴木選手の除名処分を理事会と総会に提案することを決めた。
再発防止策として連盟主催の競技大会で選手のドリンクボトルを預かり管理する「ドリンク保管所」を立ち上げるほか、市販医薬品の使用に関する選手の相談窓口を設置する。
連盟の成田昌憲会長は9日午後、記者会見し「全ての方に深くおわびする。(カヌー界を)何とか元の状態に戻したい」と謝罪。「ドーピング・ゼロを掲げて取り組んできたのに、足元からこんなことが出るなんてショックが隠せない。誠に情けない話だ」と険しい表情で語った。