インド最長の海上道路、IHIが受注
IHIインフラシステムはインドのムンバイ湾横断道路を構成する長さ10.4kmの道路橋建設工事を、現地の大手建設会社ラーセン・アンド・トゥブロ(L&T)とのコンソーシアム(企業連合)で受注した。IHIインフラシステムの受注金額は約200億円、工期は2018年1月~22年7月だ。親会社のIHIが17年12月27日に発表した。

ムンバイ湾横断道路は、ムンバイ中心部のセウリと、ムンバイ湾の対岸にあるナビムンバイを結ぶ。総延長は約22kmで、完成すればインドで最長の海上道路となる。日本の政府開発援助(ODA)の対象で、総事業費約3300億円のうち85%を円借款で賄う。
IHIインフラシステムは鋼製床版の製作と輸送を担当。床版には、インドで初となる塩に強くてさびにくい重防食塗装を採用する。同社がインドで工事を担当するのはこれが2度目。15年に今回と同じL&Tとのコンソーシアムでデリーとムンバイを結ぶ貨物鉄道の鋼橋工事を受注し、施工を進めている。

ムンバイ湾横断道路の工事を巡っては、中国や韓国などの建設会社と受注を競った。国土交通省は「質の高いインフラ」を売り込むトップセールスなどを通じて日本勢の受注を支援してきた。今回の案件は一般的な鋼橋なので、技術力よりも価格や建設会社の国籍が重視されたとする見方もある。円借款事業であることが日本企業に有利に働いたとみられる。
ナビムンバイは経済特区に指定されており、港の拡張や空港建設の予定地となっている。インド最大の金融都市と呼ばれるムンバイへのアクセス向上により、さらなる経済成長が期待される。

(日経コンストラクション 長谷川瑤子)
[日経コンストラクションWeb版 2018年1月9日掲載]