夫婦別姓選べず「戸籍法は違憲」 サイボウズ社長が提訴
結婚時に夫婦別姓を選べない戸籍法は法の下の平等を保障する憲法に反するとして、ソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長(46)ら4人が9日、国に計220万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。夫婦別姓を禁じる民法の規定を合憲とした最高裁判決から2年。結婚後の姓を巡り、再び法廷で争われる。

青野社長はサイボウズが東証マザーズに上場した翌年の2001年に結婚した。その際、妻の姓を選択し、仕事などでは旧姓の「青野」姓を通称として使っている。
訴状によると、青野社長が持つ同社の株の名義を結婚後の姓に変更する必要があり、約81万円の手数料がかかった。投資家から「社長が株を持っていない」と誤解されることも多く、「効率的な経済活動が阻害されている」と訴えている。
民法750条は「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」と定めている。15年12月、最高裁大法廷は、この民法の規定を「合憲」とする初の憲法判断を示した。
民法の規定は最高裁の合憲判断が確定しているため、青野社長らは戸籍法に着目した。日本人と外国人の結婚・離婚や、日本人同士の離婚の場合は戸籍法にもとづいて姓を選べるのに、日本人同士の結婚では姓を選ぶ規定がない点を挙げ、「法律の不備で、法の下の平等に反して違憲だ」と主張している。
提訴したのは青野社長、結婚後に旧姓を通称使用している20代女性、旧姓を使い続けるために事実婚を予定している男女の計4人。夫婦別姓を選べないために「精神的苦痛を受けた」「法律上の結婚ができない」として、それぞれ55万円の損害賠償を国に求めた。
法務省民事局は「訴状が届いていないので現段階ではコメントできない」としている。