思い出つなぐ「抱っこかばん」 育児経験もとに商品化

2018/1/9 9:18
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さいたま市の女性が開発した、抱っこひもとしてもかばんとしても使える「抱っこかばん」が好評だ。夫の死後、子連れでの外出先で途方に暮れた経験を基に奮闘、商品化にこぎ着けた。育児期が終わっても使い続けることができ、「長く家族の思い出をつないでほしい」との願いが込められている。

抱っこかばん「gyuttone!」を開発したのは大門みづきさん(40)。手提げかばんの両脇のファスナーを広げるとおむつ替えシートになり、さらに収納されたベルトを装着すると抱っこひもにもなる。畳むと20センチ四方で持ち運びも簡単だ。耐荷重は30キロで4、5歳児にも使え、使用者からは「地震時の備えになる」との声も。

大門さんは2014年、夫の秀行さん(当時41)を交通事故で亡くした。長男の奏一朗君は当時生後10カ月。一周忌も過ぎたある日、動物園に出掛けると奏一朗君が眠ってしまった。抱っこひもは、かさばるため持参していなかった。周囲には、母親の傍らで父親が子どもを抱っこしている幸せそうな家族。子どもと荷物を1人で抱え、必死で涙をこらえた。

「つらい思いをしている人は自分だけじゃない」。夫を失ったショックで仕事を辞めた大門さんだったが、持ち運びに便利な抱っこひもの開発に取り掛かった。美術大で学んだ経験を生かしてデザインを練り、自宅のミシンで試作を重ねた。

必要な資金はクラウドファンディングで集め、行政窓口で紹介してもらった、福島県二本松市に工場を持つメーカーに製造を依頼。17年9月から1万9800円(税抜き)で販売を始めると、これまでに想定を超す約200個が売れた。

「商品が出来上がるにつれ、精神的にも立ち直れた」と大門さん。「何かを突き詰めてやりきった経験を、夫の分まで息子に伝えていきたい」と話す。〔共同〕

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