2018年7月17日(火)

一枚上手の相撲論(浅香山博之)

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時代は変わった 暴力根絶へ相撲界がすべきこと

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2018/1/12 6:30
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 元横綱日馬富士による貴ノ岩への暴行事件は世間を大きく騒がせ、日本相撲協会は「再発防止検討委員会」の設置を決めた。事件を教訓に角界から暴力を根絶できるのか。自らの経験を踏まえ、胸の内を語りたい。

引退記者会見で謝罪する日馬富士(17年11月29日)

引退記者会見で謝罪する日馬富士(17年11月29日)

 酒席の場で起きた元日馬富士の事件とは少し違うかもしれないが、稽古場では気の抜けた稽古をしていればたたかれることは昔からあった。ある力士は勝手に稽古を終えようとして師匠から思い切り殴られたこともある。また、ぶつかり稽古で力を出し切れない力士は一発殴られ、「たたかれたら痛いし、悔しいだろ? 怒ってこい」と発奮を促され、立ち向かっていく光景もあった。自分は今45歳だが、相撲界では30代半ばや40~50代くらいは、たたかれた経験がある人の方が多いのではないか。

 自分にも経験がある。あるとき、ぶつかり稽古で相手を押しても押せなくなった。膝をつき、苦しくてもう動けない。そのとき、口の中に砂を突っ込まれた。すると、「このままじゃ、まずい」と飛びおきて、そこからまた力が出せた。自分が決めた限界はどうしても緩くなる。だから強制的に限界を超えさせるようなことを、昔の人たちはやっていたのだと思う。

 相撲を取っていると、どうしても立ち合いで頭同士がぶつかることがあるし、突っ張り合いになれば手が顔に入ることもある。場合によっては脳振盪(しんとう)を起こして倒れることだってある。変な話、たたかれるよりももっと痛い思いをして稽古に励んでいる。実際、普段の苦しい稽古からすると「手でたたかれるのは痛くもかゆくもない」という感覚もあった。だから殴る側は「これくらい何ともないだろう」と変な勘違いをして、たたいてしまうのかもしれない。

日本相撲協会は元横綱日馬富士関の暴行事件を受け、再発防止研修会を開いた=共同

日本相撲協会は元横綱日馬富士関の暴行事件を受け、再発防止研修会を開いた=共同

「怒って殴って」は過去のもの

 また、受け手側がどう感じるかも大きい。本当に強くしたいと思って接しているのかどうか。どうでもいいやと思って痛めつけているのであれば、やられる方は精神的にきついだけだ。この人は自分のために一生懸命やってくれているんだとなれば、また違ってくる。ただ、個人的には殴られて強くなるということは、あまりないことだと思っているが。

 もちろん今の世の中ではそういうことをしてはいけないし、2007年に起きた時津風部屋の暴行死事件があってからは親方や力士らの認識も改まったように思う。今回の元日馬富士のように、道具を使って頭を殴るなんていうのは一番やってはいけないことだ。殴られた側は身体はもちろん、精神的にも深く傷つけられる。

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