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若者が紡ぐ日韓交流 おもてなし進化、東京へ

平昌へ-開幕まで1カ月-(上)

スポーツを通じて交流を図る日韓の学生ら(2017年2月、ソウル)=日本体育協会提供

「ここは選手村です。あなたは落ち込んでいる選手を見かけたときにどうしますか?」

「『どうぞ』と言いながらペットボトルの水をさりげなく渡そうと思います」

2017年8月、東京・大手町の日本旅館「星のや東京」で行われた研修会。講師を務めた従業員の山口美咲さん(27)の問いに、韓国から訪れた大学生が答えた。

山口さんは元競泳選手。五輪で入賞した経験から「そうした接し方は選手も受け入れやすいと思います。あいさつをしてみるのもいいかもしれません」と助言した。

この研修会は、日韓文化交流基金(東京・千代田)の親睦事業の一環で行われた。参加した韓国の学生19人は、18年2月に開幕する平昌冬季五輪の大会ボランティアとして日本語の通訳を務める面々だ。

韓国外国語大3年のパク・ジンゴンさん(23)はスピードスケートの競技会場で通訳を務める予定だ。「元選手からアスリート心理を聞くことで正確な通訳だけではなく、心遣いが大切なことが学べた。研修会に参加できてよかった」と振り返る。

研修会の企画には、東京大の学生団体が携わった。中心的な役割を果たした東大文学部3年の瀬戸多加志さん(23)は「日本が誇る『おもてなし』の文化を伝え、大会本番に役立ててもらいたかった」と狙いを明かす。

学生団体は20年東京五輪・パラリンピックに向け、訪日外国人をどう、もてなしていくかを考えている。平昌大会のボランティアは約2万人。瀬戸さんは「今度は韓国の学生から平昌大会での経験を学び、東京大会への活動に生かしたい」と意気込む。

日韓のスポーツを通じた交流の本格化は、日韓共催の02年サッカーワールドカップ(W杯)がきっかけとなった。日本体育協会(東京・渋谷)は、共催が決まった翌年の1997年から交流事業をスタート。16年度はジュニア世代から大人まで約1400人が両国を行き来した。

「若い世代の選手にとっては、他国の文化に触れられる貴重な機会だ」。スキー・クロスカントリーの元五輪選手で、中学生で構成される同競技の選手団を引率してきた今井博幸さん(47)は意義を強調する。

過去の訪韓では、日韓の選手が一緒に練習するだけではなく、懇親会でダンスを披露するなどして交流した。帰国後も一部の選手らが交流サイト(SNS)で近況を報告し合って絆を深めているという。

平昌大会の開幕が間近に迫った18年1月8日からはスキー、スケート、アイスホッケー、カーリング競技の日本の中学生選手計119人が韓国で開かれる交流事業に参加する。今井さんは「大会本番を控えた現地の雰囲気をぜひ味わってほしい」と話し、日本体育協会の担当者も「選手らが高い競技レベルを目指すきっかけになれば」と期待を寄せる。

「近くて遠い」ともいわれてきた日韓。平昌大会は日韓の若者の交流をさらに深め、東京大会に向けた遺産(レガシー)を残していく好機でもある。

平昌冬季五輪は9日で開幕まで1カ月。スポーツを通じた両国の交流や大会を支える人々の姿を追った。

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