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餓死寸前のホッキョクグマ エサ求める姿が涙を誘う

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

2017年の夏の終わり、写真家ポール・ニックレン氏と環境保護団体シーレガシーの映像製作者らは、カナダ北東部のサマセット島で胸が張り裂けるような光景に遭遇した。飢えて死に向かいつつあるホッキョクグマに出会ったのだ。

ニックレン氏にとって、クマはなじみ深い存在だ。しかし、12月に彼がインターネットで公開した、やせ衰えたホッキョクグマの姿は、これまでに見た最もつらい光景の一つだった。「私たちは泣きながらその場に立ち尽くしました。撮影している間、涙が頬を伝っていました」

なぜ助けてやらなかったのかとの声に対して、彼は「もちろん、それも考えました」と語る。「しかし、私は麻酔銃や200キロのアザラシの肉を持って歩いているわけではありません」。また、カナダでは野生のホッキョクグマに餌を与えることは違法である。

ホッキョクグマは、気候変動の影響を象徴するマスコットとして扱われている。北極地方にのみ生息するため、温暖化や海面上昇の影響を真っ先に受けてしまうからだ。ホッキョクグマは、海氷の上にいるアザラシの群れを襲って食べる。夏の間は何カ月も食べられないまま、海が凍るのを待つことも珍しくない。

現在、ホッキョクグマのエサ探しの場となる海氷の状態はさらに悪化している。米国の雪氷データセンター(NSIDC)は海氷の観測を毎年行っているが、その面積は年々最低記録を更新しているという。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2017年12月12日付記事を再構成]

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