LINE、実店舗にも「共通ポイント」導入
LINEは共通ポイント事業を実店舗に広げる。消費者が企業と無料対話アプリ「LINE」で「友だち」になると、購入額に応じて対話アプリのサービスで使える「LINEポイント」を付与する。企業は対話アプリを会員カード代わりに使えるほか、セール情報なども発信できる。LINEは共通ポイント事業を通じて自社サービスの利用を促す。

カタログ通販大手のディノス・セシール(東京・中野)の商品を販売するディノス越谷レイクタウンアウトレット店(埼玉県越谷市)で実証実験を実施した。結果を検証したうえで、2018年内に運用を始める。
来店者が店頭に掲示されているバーコードをスマートフォン(スマホ)で読みとると、画面に専用ページが表示される。来店者は専用ページにあるバーコードを会計時にレジで見せると、購入額に応じてLINEポイントをもらえる。
LINEポイントは1ポイントを1円として利用できる。対話アプリでスタンプや漫画などを購入できるほか、スマホ決済サービス「LINEペイ」で現金代わりにすることも可能。購入金額に対する付与率は店舗ごとに設定し、今回の実験では5%とした。
LINEポイントをもらうには、対話アプリで店舗の公式アカウントと「友だち」にならなければいけない。店舗は来店者のアカウントを顧客管理ツールとして活用することで、セール情報や割引クーポンなどを配信できる。独自に販促アプリを開発する時間やコストを省ける。
LINEのアカウントで個人を認証するため、消費者にとっては店舗ごとに名前や住所などを入力する煩雑な手続きがいらない。共通ポイントが普及すれば、店舗ごとに複数の会員カードを持ち歩かなくてもよくなるメリットもある。
LINEは対話アプリをあらゆるサービスの入り口とする「スマートポータル」の構築を目指している。17年6月にネット通販サービス「LINEショッピング」を始めたほか、18年には自転車シェアサービスにも参入する。LINEはポイントがもらえるサービスを実店舗にも広げ、消費者を自社のサービスに誘導してアプリの使用頻度を高める狙いがある。
(企業報道部 広井洋一郎)
[日経産業新聞2018年1月9日付]