2018年5月21日(月)

腕も腰もパンパン…クラフトビール醸造、記者がトライ

コラム(ビジネス)
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2018/1/5 6:30
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■師匠は元自動車デザイナー

自動車メーカーのデザイナーから転身した「MARCA」の神谷みずきさん

自動車メーカーのデザイナーから転身した「MARCA」の神谷みずきさん

 「MARCA」の運営会社代表、神谷みずきさんの前職は自動車デザイナー。トヨタ自動車とダイハツ工業で12年間働いた。充実した日々だったがいつしか「全てを自ら手掛けたい」との思いが強くなった。ビール好きに加え「歴史が古いのに製造方法が日々進化している」点にひかれた。

 自らデザインした店舗を併設した醸造所を開いたのが2015年4月。自分の飲みたいビールのレシピを考え、毎月1300~1500リットル出荷している。

 「MARCA」では多くが手作業。ほかの醸造所では自動化工程も多いと聞き、記者が「やっぱりここはクラフト(手作り)なんですね」と尋ねた時のこと。

 「クラフトビールって言葉はあまり好きではなくて」と神谷みずきさんはつぶやいた。規模にかかわらず品質が高いビールが皆に届けばいいとのこと。マニアックなものを礼賛し、メジャーになると批判する――。そんな風潮とは一線を画したいという。

 自動車を例に話を続けた。「ドアがきっちり閉まるのはなぜか。人手で調整しているからです」。大手メーカーでも情熱を込めて働いている人は多い。それなのに「クラフト」を持ち上げすぎると「工場で働く人に失礼」とみる。

 この考え方は値付けにも表れる。取材に訪れたのは受注開始日。用意した540リットルは瞬く間に完売した。価格は大手クラフトビールメーカーと同程度という。流通量が少なく人気もあるなら値上げできるはず。

 だが神谷さんはいう。「生産量が少ないのは自分の責任。それなのに価格を上げるのはおかしい」ときっぱり。モノの価値は希少性にではなく品質にあるという考えを徹底する。トヨタグループで培ったモノ作りへのこだわりか。

 やはりビールの価値は味にある。そのことに気づかされた取材でもあった。

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