2018年10月24日(水)

腕も腰もパンパン…クラフトビール醸造、記者がトライ

コラム(ビジネス)
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2018/1/5 6:30
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新年会シーズン。飲み歩いていると大阪でも大好きなクラフトビールを出す店が増えてきた。店舗紹介をみると、数人で起こした小さな会社も多いようだ。記者も40歳を過ぎた。一念発起するならば最後のチャンスか。作りたてのビールを毎日試飲できそうなのも悪くない。まずは修行だ。

■まずは洗浄・殺菌・片付け

訪ねたのは大阪市内のおしゃれスポット、北堀江にある小さな醸造所「MARCA(マルカ)」。自動車のデザイナーだった神谷みずきさん(37)が運営し、併設の店舗で自家製ビールを出す。

朝7時に集合。眠い。カウンター席が並ぶ店の奥が醸造スペースだ。まずは作業場所の片付けと洗浄、殺菌作業。神谷さんとスタッフの荻野良大さん(30)が手際よく進める。腕まくりすると「まだいいです」と神谷さん。中年記者には体力がないとみられたのかと思ったが、大切な理由があることが後で分かった。

醸造作業は8時にスタート。仕込むのはメープルシロップを使うビール280リットル。まずは糖化と呼ぶ工程。お湯に麦芽をまぜ、酵素の力で麦芽内のでんぷんをアルコールの原料となる糖に分解し、麦汁を作る。主に味を左右する茶色の麦芽12キログラムと、アルコールのもとになる白っぽい麦芽20キログラムを「糖化槽」のタンクに上から入れる。

傍らにある作業台に乗って投入しようとすると「ほこりがたたないよう水面近くからそっと!」と鋭い声。タンクの中にまで身を乗り出し、麦芽の入った袋をそろりと傾ける。結構重い。

その後はかくはん。金属の棒でダマがなくなるよう混ぜる。早くも腰を痛めそうな気がする。お湯の温度は60~70度。この暑さも体力を奪う。神谷さんが「そろそろ代わりましょうか」と声をかけてくれた。ホッ。

混ぜた後は1時間ほどかけて糖化させる。一休みかと思えば、2人はタンクやホース、パッキンを蒸気やアルコールで消毒している。口に入るものだから当然だけど徹底している。「ビールはアルコール度数が5%程度と低く、ペーハー値も低くない(酸性度が高くない)ので腐りやすい」と理由を教えてくれた。なるほど、だから最初の消毒などを記者にはやらせなかったのか。

9時頃、糖化が完了したかな。すくった麦汁にヨウ素を垂らして反応をみる。すると紫に変色。まだだ。タンクの温度を上げたり、かき交ぜたり。何度か試すがうまくいかない。焦っていると「麦芽の量が普段より少ないから勝手が違う」とのこと。メープルシロップの糖分があるので麦芽の使用は控えめなのだ。

10時過ぎにようやく完了。次は煮沸釜と呼ぶ別のタンクにろ過しながら移す。残った麦芽には再びお湯をかけ、糖分を残らずこしとる。温度を均一にするためにまた混ぜる。「上の方だけそっと」との指示が飛ぶ。混ぜすぎると底にたまった麦芽の殻が浮き上がってしまうという。

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