松阪の酒造、火災から復活 ネット活用で資金募る - 日本経済新聞
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松阪の酒造、火災から復活 ネット活用で資金募る

昨年2月の火災で酒蔵が焼けた三重県松阪市の老舗酒造が、インターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングを活用し、日本酒の仕込みを昨年11月から再開した。切り盛りする中山正昭さん(58)と妻の美貴さん(53)は「直接会ったことのない人からも支援を頂き、感謝の気持ちでいっぱい。これまで以上の日本酒を届けたい」と意気込んでいる。

1820年創業の中山酒造は「白米城(はくまいじょう)」が看板商品で、白米城を15年以上熟成させた「琥珀城(こはくじょう)」も人気。琥珀城は世界的なワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」の日本酒古酒部門で、2014、15年とシルバーメダルを獲得したこともある。

火事が起きたのは17年2月6日の冷え込みの厳しい日だった。仕込み用のタンクを温める電熱器を使用したところ、電気コードがショートして出火。酒蔵など4棟が焼け、機材のほとんどを失った。近所への延焼はなかったが「いろんな方に迷惑を掛けた。申し訳なかった」と正昭さん。美貴さんは「焼け跡を見た時、もう再開は無理だと思った」と話す。

しかし、得意先や親戚から連日激励され「そう簡単に諦めることはできない」と奮起。幸い貯蔵庫は被害を免れたため、酒蔵として使うことを決め、修繕や機材購入の費用をクラウドファンディングで募ることにした。

当初の目標額は300万円だったが、交流サイト(SNS)で情報を発信すると友人らが拡散。最終的には県内外346人から支援があり、計約410万円を集めることができた。

出荷できなくなった日本酒の代わりになる商品はないかと考え、酒かすを使ったスイーツを開発。じわじわと人気が広がり「災い転じて福となすというやつです」と正昭さん。2人は「これからも地元に愛される酒を造りながら、個性的な商品も生み出していきたい」と話している。〔共同〕

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