交通事故死者、17年は過去最少の3694人 68年ぶり更新
2017年の全国の交通事故死者は前年より210人(5.4%)少ない3694人で過去最少だったことが4日、警察庁のまとめで分かった。これまで最少だった1949年(3790人)を68年ぶりに下回った。取り締まり強化や安全対策が効果を上げたとみられる。警察庁は、自動運転などの先端技術を後押ししてさらなる減少を目指す。

都道府県別の死者数は、愛知が200人で15年連続のワースト1だった。埼玉177人、東京164人と続いた。

全国の死者は上半期(1~6月)に1675人で、前年同期から8.3%減となっていた。下半期は7、11月に前年同月比で20~22人の増加に転じるなど減少率は鈍ったものの、半年間では2.8%減の2019人だった。
交通事故死者数は48年から集計している。これまで最少だった49年は全国の自動車保有台数が約30万台で、現在の約8100万台の0.4%に満たなかった。
戦後の急速な自動車の普及で、交通事故による死者は急増。「交通戦争」と称された70年には過去最悪の1万6765人を記録した。
バブル期にも再び増えたものの、取り締まり強化のほか、シートベルト・チャイルドシート着用率向上やエアバッグなど安全装備の充実、通学路の安全点検などの対策が進み、減少傾向が続いている。近年はピークの4分の1以下になっている。
政府は20年までに年間死者数2500人以下を目標に掲げている。ただ、17年版の警察白書は従来の対策では「達成は困難」と指摘した。警察庁は17年6月、遠隔システムの制御により、無人の自動運転車の公道実験を初めて認める許可基準を公表。将来的な事故防止に向けて先端技術の開発を支援する。事故原因などを分析し、より効果的な対策も進める。
小此木八郎国家公安委員長は「大幅に状況が改善されたが、今なお多くの尊い命が交通事故で失われていることには変わりない。さらなる減少を目指したい」とのコメントを出した。