2019年7月22日(月)

孫氏「10兆の次は100兆」

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2018/1/4 6:30
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孫氏によると、武力と同じくらいの情熱をかけて資金の流れを作った点に違いがあるという。楽市楽座などの経済政策によって織田軍は当時の最新鋭テクノロジーである火縄銃を独占的に手に入れた。武田軍を鉄砲で破った勝因は、資金が入り続ける「構え」をつくったことにあるというのが孫氏の考えだ。

ただ、現代の楽市楽座である巨額ファンドは、孫氏にとって「資金の流れ」をつくりあげる道具でしかない。そのカネで築こうとしているのが「300年成長し続ける新しい企業集団の形」だ。

子会社にはせず

「きら星のごとく、多くのルーキーを我々の集団に取り込む。そのルーキーたちが刺激し合って自己進化を続ける」のが狙いだ。日本式の財閥と決定的に違うのが、出資先企業の成長に合わせて融通むげにグループから出入りする点にあるという。従って原則、子会社にはしないが影響力を持つ筆頭株主のポジションを狙う。「強力な選手をどんどん引き抜いて常勝軍団をつくっていく。メジャーリーグ(の球団)みたいなもんですよ」。

地元密着をうたう福岡ソフトバンクホークスのオーナーでもある孫氏があえてメジャー式を口にするのは、「天下を取るための構えをつくる」ことに情熱を注ぐからだ。

ソフトバンクが戦う情報産業というフィールドは、テクノロジーの進化に応じて世界を一変するようなパラダイムシフトが次々と起こる。手にした事業にこだわっていては次の波に乗り遅れる。

財閥のようにグループの面々がいつまでも変わらないようでは永続的な成長は見込めない。孫氏は「我々は多種族を進化させようとしているんですよ」とも言い換える。

孫氏は自らの手法を「群戦略」と呼ぶ。投資を通じて企業の群れを束ねるからだ。今に始まったことではない。ただ、巨額投資の負の側面もある。15兆円にも及ぶ有利子負債だ。強気の孫氏も「さすがにこれ以上は増やせない」と認める。

だが、これからソフトバンクが向かう波は人工知能(AI)が起こす「人類史上最大のパラダイムシフト」。もはや自社だけで負債を気にしながらの投資では群戦略を維持できない。そこで国家も巻き込む巨大ファンド構想に行き着いた。

大ばくちと評されることも多い孫流経営。今年はどんな手を打つのか。孫氏は涼しい顔で豪語する。「ソフトバンクの本当の姿が見えてくるでしょうね。これからが本当の挑戦ですよ」。

(企業報道部 杉本貴司)

[日経産業新聞 2018年1月4日付]

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