2018年10月22日(月)

米社会揺らしたセクハラ問題 18年はトランプ氏波及も

2017/12/28 22:00
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【ニューヨーク=伴百江】2017年の米国は「セクハラ問題」が社会全体を揺らした。セクハラに関する疑惑はテレビ、シリコンバレー、ハリウッド、音楽業界から政界まで広がりをみせ、現在も収束する兆しはない。告発の動きなどを受けて議員が辞職に追い込まれるケースも相次いでおり、米国のセクハラ問題は新たな局面に入った。

米議会の法務部門であるコンプライアンス事務局は12月中旬、17年までの10年間に下院議員を相手にスタッフなどが起こしたセクハラの訴えで、調停が成立して支払った和解金が総額で11万5000ドル(約1300万円)になったと発表した。

和解金の多寡はともかく、コンプライアンス事務局がこうした発表をするのは異例。この中にテキサス州共和党のブレイク・ファーレンソールド下院議員のセクハラ疑惑による和解金8万4000ドルも含まれていた。この発表を受け、同氏は18年の中間選挙での再選は目指さないと表明した。

米国でセクハラでの議員辞職はこれまで例があまりなかった。しかし複数の元スタッフへのセクハラ疑惑が浮上した民主党のジョン・コンヤーズ下院議員やアル・フランケン上院議員が12月に相次ぎ辞職を表明したことで、セクハラ問題をめぐる事態は深刻さを増す。

未成年へのわいせつ疑惑が報じられた共和党のロイ・ムーア元アラバマ州最高裁長官は同州上院補選に敗れた。ムーア氏は疑惑を否定していたものの、有権者は厳しい判断を下した。

かつて、クリントン元大統領による複数のセクハラ疑惑やクラレンス・トーマス最高裁判事よるセクハラ疑惑など政界では過去にもセクハラ疑惑が明るみに出たことはあった。だが、辞職にまでは至っていない。

一方、テレビ界やビジネス界ではセクハラ疑惑が視聴率や事業に悪影響を与えかねないとの危機感から当事者や責任者の退陣が、もはや当然とのムードが強まっている。急成長する米配車大手、ウーバーテクノロジーズでもセクハラ問題が浮上。共同創業者のトラビス・カラニック氏は6月、最高経営責任者(CEO)を辞任した。

18年にセクハラ問題で最も注目されそうな人物はトランプ大統領といわれている。昨年の大統領選中に複数のセクハラ被害を訴える女性が名乗りを上げたが、その後うやむやになっていた。先ごろ告発女性のうち3人が記者会見を開き、議会に調査を要請した。

トランプ大統領は「でっちあげ」と否定。しかし、大統領選中に公表された過去のテレビ番組の収録ビデオで「有名になったら女性器をつかむなど何をしても大丈夫」という本人の発言が全米に公開されたこともあり、国民の目は厳しい。

ツイッターなどのSNS(交流サイト)を通じ、セクハラや性暴力を告発しようという「MeToo(私も)」運動を通じて、自身の経験について沈黙を破る女性が増えたことが、多くのセクハラ問題を白日の下にさらした。

過去の被害を我慢していた中高年も、ミレニアル(1980年代以降生まれ)と呼ばれる世代がセクハラを寛容しない姿勢に触発されたとの見方も出ている。今後もセクハラ問題は、トランプ大統領のケースを含めて米国の政財界が大荒れとなる要因になりそうだ。

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