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無念の福岡国際欠場 故障から学んだこととは
ランニングインストラクター 斉藤太郎

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2017/12/30 6:30
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 12月3日の福岡国際マラソンで大迫傑選手が2時間7分19秒(3位)でフィニッシュしました。序盤は硬いかなとみていたのですが、中盤から動きがほぐれてきたような印象で、とてもスムーズに進んでいました。終盤の粘りもすばらしい走りでした。

福岡国際マラソンに出場した大迫は日本歴代5位のタイムでゴールした=共同

福岡国際マラソンに出場した大迫は日本歴代5位のタイムでゴールした=共同

 私は2016年までこの大会に6年連続で出場し、今回もエントリーしていたのですが、欠場しました。右の股関節を故障したことが理由です。走ることができないレベルの大きなけがは、ここ10年以上なかったこと。スタートを切る選手たちを眺めるときの気持ちは、乗り損ねた電車を見つめるような切ないものでした。

 「レースの結果は、わずか一行に集約される。残るものは、氏名、記録、区間順位、チーム順位の四項目だけである。そこには、怪我(けが)をしていたからとか、風邪をひいていたからと書かれることはない」。駅伝選手だった作家、黒木亮の自伝的小説「冬の喝采」からの引用です。私の心の中でずっとひっかかっていた言葉です。

 失敗に2つのパターンがあるとしましょう。一つは、万全な準備を経て走った結果としての敗北。もう一つは正常には走れない、不完全な状態であることを承知の上で出場しての敗北です。

 前者を「仕方のない失敗」だとすれば、後者は自らの意志で避けられるものです。ですが私の心が揺れ、陥りかけたのは後者でした。痛みをこらえて出場し、ぎこちないフォームで走る。コーチとしてもランナーとしても、やってはいけないことだと判断しました。棄権届を提出したのは初めての経験です。

走るべきでないとき

 現在受けている治療の説明は後述するとして、こんな無理をしている方はいないでしょうか。

(1)「走り出しは痛い。でも我慢して走ってしまう」

 走っていると痛みが消えることがあります。「治った!」と思いたいところですが、患部がまひして痛みを感じなくなっているにすぎません。我慢して走るとバランスの崩れがひどくなっていきます。要注意です。重大な状態に陥ったときに振り返ると、あの時点でやめておけば、というのがこのタイミングであることが多いです。

(2)「目標にしていたレース、抽選に当たったレースだから走らないと」

不完全な体調で走り切れるほどフルマラソンは甘い競技ではない

不完全な体調で走り切れるほどフルマラソンは甘い競技ではない

 ランニングを通じた仲間にSNSなどで良い刺激を受ける一方で、走れない状況に陥ったときに、自分だけが乗り遅れている感覚にさいなまれ、焦ってしまうことがあります。決してあおられないことです。

 ウサギとカメの話では、勝ったカメは自分のゴールしか見ていませんでした。負けたウサギは相手ばかりを意識し、走ったり、休んだりの繰り返し。周りを気にしすぎ、主体性のないアプローチだったという見方があります。「自分の最終到達目標はどこか」「今すべきことは」。このあたりを今一度、確認してみてください。

 やめるには勇気がいります。ですが、不完全な体調で走り切れるほどフルマラソンは甘い競技ではありません。ゴールできたとしても何らかのダメージが残ります。それが人生最後のレースになってしまう危険さえあるかもしれません。今回、私の置かれていた状況も似ています。福岡国際マラソンのBグループへの参加資格「2時間35分0秒」を満たす記録は2年間有効なのですが、これで資格を失効してしまいました。いまだ悔しさは癒えず、しばらくは後を引くことでしょう。時間をかけて乗り越えていくしかないと思っています。

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