2019年5月27日(月)

原油、2年7カ月ぶり高値 リビアでパイプライン爆発

2017/12/27 20:02
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【カイロ=飛田雅則】北アフリカの産油国リビア東部で26日、原油パイプラインが爆発した。軍関係者は武装勢力による襲撃との見解を示した。主要拠点を失った過激派組織「イスラム国」(IS)残党の関与も浮上。アジアで指標となる中東産原油は27日、2年7カ月ぶりの高値をつけた。産油国の減産効果を材料に投資資金が流入し、先高観も出ている。

爆発したパイプラインは、リビア内陸部の油田と地中海の港をつなぐ。軍関係者によると、武装集団が自動車で乗り付けて爆弾を仕掛けたという。AP通信は「ISが爆破を実行した」とする警備担当者の話を伝えた。

爆破の影響で供給が減る原油の量は最大で日量10万バレル程度とされ、リビアの産油量の1割。世界全体の供給量1億バレル弱に比べると極めて少ない。

それでもアジアで指標となる中東産ドバイ原油が1バレル64.10ドル前後と前日から1.40ドル(2%)上げるなど、市場は敏感に反応した。

背景には複数の理由がある。1つ目が、同様の事件が続く可能性があるとの懸念だ。シリアやイラクの拠点が制圧されたISの残党が中東やアフリカに散らばり、新たなテロを引き起こす恐れが指摘されている。

リビアはカダフィ政権の崩壊後に内戦が続き、ISなど過激派が台頭した。爆発が起きた地域ではISが現在も活動しているとみられている。

もう1つの理由は、主要産油国による減産で年初に比べ原油のだぶつき感が薄れていることだ。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国が1月に始めた協調減産は、現在まで足並みがそろう。11月時点の順守率は100%を超えた。

世界的な景気拡大で需要も底堅く、過剰な在庫は減っている。先進国の商業在庫(過去5年平均に対する超過分)は10月に1億3700万バレルと、1月に比べ半減した。

6月にサウジアラビアがカタールと断交した際は、原油相場の動きは限られた。協調減産の効果で需給バランスが変化し、原油市場の地政学リスクへの感応度は年前半に比べ高くなっている。

供給の絞り込みという構造変化に加え、世界的な株式相場の上昇で「投資家のリスク許容度が高まっている」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之氏)ことも投資マネーの流入を促した。ニューヨーク市場の原油先物は26日、一時1バレル60.01ドルまで上昇した。

今月上旬からの英国沖の北海油田のパイプライン停止も原油価格を下支えする。米国では目先の気温が平年より低めに推移するとの予測がある。暖房用の燃料需要が膨らむとの思惑も原油の買い材料になっている。

原油高は日本の石油製品に波及した。資源エネルギー庁が27日発表した25日時点のレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)は、1リットル141.7円だった。前週から0.2円上がり、約2年半ぶりの高値をつけた。

軽油は1リットル119.6円、灯油は同84.4円と、ともに15週連続で上昇した。原油高を受け一部の石油元売りは同日、全油種の卸価格を1リットル1円引き上げると給油所に通知した。

調査を担当する石油情報センターは「来週も小幅に上昇する」と予想する。年末年始は車の利用が増えたり、暖房用の燃料の消費が伸びる。需要期の値上がりで消費者の負担は重くなりそうだ。

原油価格が右肩上がりで上昇し続けるとの見方は少ない。高値は米国でシェールオイルの増産につながる。原油高に応じ、やや時間をおいて石油掘削装置(リグ)の稼働が増える傾向がある。サウジアラビアやイランといった主要産油国と異なり、協調減産に縛られない米国の増産は今後の相場の重荷になる。

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