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サッカー次期代表監督、外国人に限定しないで

サッカージャーナリスト 大住良之

(更新)

世界から取り残された状況だった日本のサッカーがワールドカップ初出場を果たし、世界に「デビュー」したのは1998年。それから約20年。日本が6回目のワールドカップ出場に臨むのが2018年である。一方、21年に誕生した日本サッカー協会の96年間の歴史で「明治維新」に当たるような大改革が93年のJリーグ誕生だった。18年はそこから四半世紀、25年という区切りの年でもある。日本代表とJリーグを軸に18年の日本サッカーを展望してみたい。

練習を見守るハリルホジッチ監督(奥)。ワールドカップでどんな結果を残せるか=共同

6大会連続のワールドカップ出場は、実は大変な記録である。

イタリアと米国が18年ロシア大会の出場を逃したことで、今回まで6大会以上の連続出場国はわずか8となった。ブラジル(21大会連続出場)、ドイツ(17大会)、アルゼンチン(12大会)、スペイン(11大会)、韓国(9大会)、メキシコ(7大会)が上位6つを占め、日本とイングランドの6大会連続出場が続いている。

日本、まずは1勝が現実的

だがその「輝かしい出場史」のなかで、過去5大会の日本の成績は17戦して4勝4分け9敗、総得点14、総失点22と芳しくない。勝利を記録したのは地元開催の02年大会と10年南アフリカ大会(ともに2勝)の2大会にすぎず、残りの3大会はいずれも無勝利、グループ最下位で終わっている。「これまでの最高がベスト16だったから、今回の目標はベスト8」という人がいるが、まずは1勝を目指すのが現実的ではないだろうか。

ロシア大会では日本はH組に入り、コロンビア、セネガル、ポーランドと対戦する。3試合の目標は2位以内に入って決勝トーナメントに進むことだが、日本のサッカー史を考えれば、1勝して3位なら十分価値がある。

ワールドカップが終わると次期日本代表監督選びが大きな話題になる。従来は基本的に世界の舞台での経験を持つ外国人監督が選ばれてきたが、もちろん外国人に限定すべきではない。私は広島でJリーグ3回優勝という偉業を成し遂げた森保一氏が次期日本代表監督にふさわしいと考えていたが、森保氏は20年東京五輪を目指すチーム(18年はU-21=21歳以下=日本代表)の監督に就任した。18年以後は五輪チームの活動はA代表の活動と期間が重なるため、兼任はできない。

ワールドカップ後には9、10、11月に2試合ずつの日本代表活動予定(いずれも親善試合)があり、9月には札幌と大阪で試合が行われることが決まっている。19年1月(1月5日~2月1日)にはアラブ首長国連邦(UAE)でアジア・カップがあるため、この6試合でチームを固める必要がある。今回もやはり経験豊富な外国人監督を探す以外にないのだろうか。

誕生から四半世紀を過ぎたJリーグは、一時の停滞期から変わりつつある。17年に神戸が元ドイツ代表のFWポドルスキを獲得、18年に向けてはJ2から復帰する名古屋の元ブラジル代表FW獲得の噂も出ている。クラブ財政の健全性を最優先して大物外国人選手の獲得に手が回らなかったJリーグのクラブだが、昨年テレビ放映権料が実質的に2倍になり、クラブへの分配金が増えたことで空気が変わってきたようだ。

浦和はJリーグ勢として9年ぶりにACLを制した=共同

Jクラブ、目を世界に向ける

しかし何より重要な変化は、Jリーグのクラブが国内でのタイトル争いだけに満足せず、目を世界に向け始めたことだ。

17年には浦和がJリーグ勢として9年ぶりのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)優勝を果たした。16年に鹿島がクラブワールドカップで準優勝を果たしたことで、クラブの意識は大きく変わったように感じる。これまでの日本のクラブはACLでも普段と同じサッカーをしていけるところまでいくといったスタンスだったが、今年の浦和は一つひとつの試合で勝つことに集中したサッカーをみせた。勝負に対する厳しさをそのままJリーグに持ち込むことができれば、Jリーグ自体が大きく変わる。

18年のACLにはJリーグ優勝の川崎と天皇杯優勝のC大阪、そしてJリーグ準優勝の鹿島が1次リーグからの出場し、Jリーグ3位の柏がプレーオフからの出場となる。

東京五輪男子日本代表の森保監督=共同

18年シーズンのJ1の開幕は2月24日の予定だが、プレーオフは1月30日に予定されており、タイの強豪ムアントンとの間と行われることになっており(柏ホームでの1戦制)、柏は正月明けのトレーニング開始から短期間でこの試合への調整を済ませなければならない。

なおACL1次リーグの初戦は2月13日。Jリーグ優勝の川崎と天皇杯優勝チームで争われる「富士ゼロックス・スーパーカップ」は2月10日に開催される。

男子A代表以外の「日本代表」で注目すべきチームが2つある。1つは森保一監督が率いるU-21日本代表である。1月に「アジアU-23選手権」(中国)に出場し、9月にはインドネシアで開催されるアジア大会に出場する。ともに大半の対戦相手はU-23年代で、アジア大会には「オーバーエージ」も出てくる。2歳年上のチームを相手にすることになるが、森保監督が若い選手を国際舞台でどう戦えるようにするのか、注目される。

もう1つの注目チームは日本女子代表(なでしこジャパン)だ。19年にフランスで開催される女子ワールドカップの出場権を懸けたアジア予選(兼女子アジア・カップ)が4月にヨルダンで開催される。最終予選出場は8チームで、うち5チームにワールドカップ出場権が与えられるが、同じ組に現在アジア最強のオーストラリアと成長著しい韓国が入っており、予断を許さない。

高倉監督はいよいよチームを固めなければならない時期にさしかかる=共同

なでしこ、再び世界と戦えるか

16年に就任した高倉麻子監督は17年までにたくさんの選手にチャンスを与えてきたが、いよいよチームを固めなければならない時期にさしかかる。19年にフランスで再び世界と対抗できるチームができるか、目を離せないところだ。

だが、やはり18年の最大の注目はロシアでのワールドカップと4つのクラブが出場するACLだ。この2つこそ、日本のサッカーが世界に打って出る先鋒(せんぽう)であり、シンボルでもあるからだ。

ワールドカップではまず1勝を、そしてできるなら1次リーグ突破を、そして1次リーグを突破したらそこで最高の集中力を発揮して野心的な試合を期待したい。そしてACLでは17年の浦和と同様、日本のクラブの組織力を生かし、アジアでJリーグの力を再び証明する結果をもたらしてほしい。

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