東レ子会社、人手不足が常態化 データ不正を誘発か

2017/12/27 12:23
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「品質保証室は人員が足りていない状態だった」「夜明けまで残業することもあり、室長の負担が増大していた」――。東レ子会社の東レハイブリッドコード(THC)のデータ改ざん問題を調査していた外部の有識者委員会は、こうした製造現場の実態を明らかにした。

子会社の品質データ改ざんを受けて記者会見で謝罪する東レの日覚昭広社長(左)ら(11月28日、東京都中央区)

子会社の品質データ改ざんを受けて記者会見で謝罪する東レの日覚昭広社長(左)ら(11月28日、東京都中央区)

THCの工場では2人の品質保証室長が顧客との契約に反してデータを書き換えており、製造業の社員が持つべきコンプライアンスが欠如していたとのそしりは免れない。だが、不正を誘発したのが慢性的な人手不足だとすると、THC経営陣の管理責任も大きく問われる。

THCは自動車タイヤやゴム製品に使われる繊維製の補強材を手掛けていた。不正があった2010年代前半は受注が伸びていたとみられ、現場の業務量が拡大。「定時以降の時間外労働が常態化していた」(調査委)という。

調査委は一連の経緯のなかで「東レの組織的関与はなく、歴代の品質保証室長2人のみが実行者だった」と説明している。しかし、納期順守やコストなどへのプレッシャーが高まるなか、トップをはじめとする経営層が人手不足の現状を正確に認識できていなかったとすれば問題の根は深い。

東レは2018年3月期連結決算で過去最高益の見通しだが、グループの工場や現場にひずみが起きていたり、品質管理に甘さが残っているとしたら、企業価値は大きく損なわれる。改ざんをさせないような品質管理の自動化システムの導入など、課題は山積する。

「人手不足経済」はサービス業だけでなく、製造業にも忍び寄っている。景気回復の波に乗り今期過去最高益を達成する企業が相次ぐなか、その裏側で過大な負担がのしかかっている工場は増えている可能性があり、他のメーカーにとって他山の石とすべきかもしれない。

(上阪欣史)

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