北朝鮮船漂着99件に 違法操業、日本のイカ漁にも影響

2017/12/26 23:25
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北朝鮮籍とみられる木造船の2017年の漂流・漂着件数が26日正午時点で99件に上ることが海上保安庁への取材で分かった。過去最多の13年(80件)を上回り、100件を超えそうな勢い。多くは日本の排他的経済水域(EEZ)内でイカ漁などをしていたとみられる。違法操業は日本の漁業にも深刻な影響を与えており、漁業関係者は取り締まり強化を政府に求めている。

海上保安庁の巡視艇にえい航されて函館港に入る北朝鮮の木造船(12月9日、北海道函館市)=共同

海保によると、17年の木造船の漂流・漂着は10月までは月5件以下で推移していたが、11月は28件、12月は40件と急増した。船内や付近から見つかった遺体は31人、生存者も42人おり、ともに過去最多だった。

漂流・漂着の増加の背景にあるのは北朝鮮船による日本海での違法操業だ。能登半島(石川県)から北北西約300キロにある「大和堆(やまとたい)」の周辺海域はイカやカニの好漁場で、北朝鮮船がたびたび日本のEEZ内で操業する姿が確認されてきた。

冬の日本海は天候が荒れやすく、波は高さ5メートルを超えることもある。木造船は全長約10メートルと小さく、簡素な設計で「悪天候ではまともに航行できない」(海保)。制御できなくなった木造船が偏西風で流され、日本海沿岸に漂着した可能性が高い。

違法操業の影響は日本の漁業にも及ぶ。石川県漁業協同組合は漁獲量の減少などを理由に、例年より約1カ月早く今季のスルメイカ漁を終えた。イカ釣り船が所属する県漁協小木支所(同県能登町)によると、シーズン開始の6月から大和堆で操業しようとしたが多数の北朝鮮の船が押し寄せ、別の漁場に移動を余儀なくされることもあった。

小木支所によると、漁獲量が前年に比べ2割ほど減った船もあった。日本船が資源保護のため針で釣るのに対し、北朝鮮船は流し網で捕獲しており、漁獲量減少の一因とみている。同支所は「違法操業が続けば漁場が失われることになる。国は取り締まりを徹底してほしい」と訴える。

海上保安庁は大和堆周辺で違法操業する北朝鮮船に対して7月以降、延べ1923隻に警告し、うち314隻に放水してEEZ外に退去させた。今後も巡視船や航空機による監視を実施する方針だ。

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