2018年9月24日(月)

ロシア穀物生産、過去最高 輸出拡大狙うも、インフラ整備が足かせに

2017/12/26 22:30
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 【モスクワ=小川知世】ロシアの2017年の穀物生産が1億3000万トンに達し、過去最高を記録した。小麦などの収穫増を受けてプーチン政権は輸出拡大を急ぐが、港湾や内陸輸送網の整備が追いつかずに足かせとなっている。輸出できない余剰穀物が国内で積み上がり、18年以降は生産量も減少に転じる見通し。世界の穀物市場で存在感が増すなか、穀物輸出の拡大がロシア経済の浮沈の鍵を握る。

輸出拡大に向けたインフラ整備が課題になっている(10月、ロシア・ノボシビルスク州での穀物収穫作業)=タス共同

 「歴史的収穫量だった。輝かしい実績だ」。プーチン大統領は12月中旬の年次記者会見で、農業分野の成長をこう自賛した。ロシア連邦統計局によると、同国の17年の穀物生産は16年比11%増の1億3410万トン(速報値)に達し、過去最高だった1978年の1億2700万トンを上回った。好天が続いたことや、生産技術の向上が寄与したとみられる。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、16年の穀物生産でロシアは中国、米国、インドに次ぐ世界4位。世界の穀物市場で存在感を増す。今穀物年度(17年7月~18年6月)の輸出量は前年同期比3割増の4500万トンを見込む。国内の余剰穀物を輸出に向け始めた00年代初期に比べて数十倍に拡大。輸出先もアフリカやアジアなど100カ国超と急速に広がっている。

 政府は輸出拡大に向けたインフラ整備を急いでいる。既存の港に穀物輸送用エレベーターを設置するなど輸出能力の増強を支援。輸出促進のため、10月には一部地域向けに国内港湾から輸出する穀物の鉄道輸送料金を1割引き下げた。極東や中国との国境地域では、国営企業などが穀物用ターミナルを建設中だ。

 ただ、こうした取り組みは生産拡大に追いついていない。建設中のターミナルの本格稼働は20年以降になる見通し。農業調査会社「ソブエコン」のアンドレイ・シゾフ氏は「輸出能力はほぼ限界。インフラ面の制約がなければ、年6000万~7000万トン規模の輸出が可能だった」とみる。

 輸出面の制約は国内市場にも悪影響を及ぼしている。「輸出に回せない余剰穀物が増え、国内価格はさらに下落している」(ロシア穀物連盟)。収益悪化により、一部地域で採算が取れない生産者も出ている。減産に動く生産者も多く、農業省によると、18年の穀物生産量は1億1000万トンと3年ぶりに減少に転じる見込みだ。

 同連盟のオレグ・マロフェエフ国際関係局長は、生産・輸出拡大には「配送コストの削減など国際競争力を高める取り組みが不可欠」と指摘する。具体的に、輸送容量が高い貨物車両の導入や、品質向上に向けた補助の必要性を挙げる。プーチン氏も会見で「生産者への支援が必要なのは明らかだ」と認めた。

 ロシア経済は国家歳入の5割を資源関連に依存するとされる。鉱物資源などの価格が低迷するなか、外貨獲得手段の多様化が急務だ。穀物を含む農産物の年間輸出額は過去10年間で3.5倍に急増。トカチョフ農相は、農産物輸出を今後10年間でさらに倍増させる考えを示す。穀物輸出を次なる成長の原動力に育てられるかが試される。

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