「都市油田」で資源大国に 積水化、ごみでエタノール

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2017/12/26 6:30
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日本の大都市に巨大な油田が眠っているかもしれない。積水化学工業が都市ごみや産業廃棄物を丸ごとエタノールに変える技術を開発したと発表。ごみがもたらす「都市油田」がにわかに現実味を帯びてきた。石油化学製品であふれかえる日本が資源大国になり、温暖化ガスの排出など環境負担の軽減にもつながる。原料の自給率向上と合わせ一石二鳥を狙う技術突破の衝撃に迫った。

■コストの壁を解決

積水化学工業が6日開いた説明会で説明する上ノ山智史取締役専務執行役員(東京港区の本社)

積水化学工業が6日開いた説明会で説明する上ノ山智史取締役専務執行役員(東京港区の本社)

日本で廃棄される可燃性のごみは年間6000万トンあり、エネルギー換算で200兆キロカロリーに相当する。一方、プラスチックとして利用される化石資源は年間3000万トン、約150兆キロカロリーだ。

積水化学は6日、ごみを価格競争力のあるエタノールに転換できる技術を確立したと発表した。焼却や埋め立てで処分していたごみを燃料や化学製品の原料に転化できる。プラスチックに使う化石資源を使い回せば、原油を輸入せずともプラスチックの需要を満たすことが理論的には可能だ。これが、まさに都市油田なのである。

都市ごみや産業廃棄物をエネルギーや化学原料に転換する技術開発には様々な試みがあった。

日本には農林水産省が支援して主に農産廃棄物からエタノールを発酵生産するパイロットプラントも作られた。また、日立造船新日鉄住金グループなどのエンジアリングメーカーもこぞって研究開発に参入している。

自治体でもメタン発酵や発電などによってごみの資源化を進めている地域も現れた。北九州では九州工業大学と協力して生ごみから生分解性プラスチックの試験生産も始まっている。

しかし、実用化にはコストの壁が立ちはだかる。ほとんど事業化には至っていないのが現状だ。日本ではごみの分別収集が定着している。だが、それぞれのごみは依然として多様で、さらなる分別や原料の精製などでコストを押し上げる。

これを解決したのが、ごみを蒸し焼きにして、どんなごみでも一酸化炭素(CO)と水素ガスに分解するガス化技術だ。

既に確立した技術だが、実はごみの多様性ゆえに余計な成分がこのガスには混入している。エタノールの発酵生産を阻害する物質も含まれる。

積水化学は独自にガスの精製・管理技術を確立した。フィルターや吸着、触媒による分解技術などを駆使し、400成分を徹底的に排除・管理する。

また、ごみの種類によっては、生成するCOと水素の割合も変化する。同社はガスの成分をオンラインで計測し、COと水素の割合などを適正化する技術も開発。都市油田の「採掘」でごみの多様性が課題となっていたが、ガス化とエンジニアリング技術を組み合わせて克服した。

提携先の米LanzaTech社が提供する微生物が、このガスをエタノールに発酵生産する。天然から分離・育種された菌で、分子のCOと水素ガスを効率良くエタノールに転換する。ごみの焼却プラントから取り出したガスを隣接した発酵プラントに吹き込み、エタノールを連続発酵生産する。

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