人口減対策、さらに知恵を 横路氏・高向氏
2018へ 私の提言

2017/12/26 0:01
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全国の中でも速いスピードで人口減少が進む北海道。地域を活性化し、観光や食関連など主要な産業をいかに伸ばすか。2018年はその先行きに通じる大きな節目が見えてくる重要な年になりそうだ。来年を展望するにあたり、まず、長年道内の政財界を引っ張り今年第一線を退いた2人の重鎮に提言を聞いた。

衆院議長を務めた横路氏

北洋銀行頭取を務めた高向氏

〈元北海道知事 横路孝弘氏〉

道知事を務めた時期は炭鉱の閉鎖や北洋漁業からの締め出し、農業の自由化など様々な問題があった。地域は冷え切った状況だったが、幸いなことに人口は増えていった。地域の力をつける取り組みをした結果だ。

各地の特産品を発掘してまちおこしに生かす「一村一品運動」がその一つだ。やがてこの取り組みが広まり、地域でイベントを開くようになったり、バイヤーを招いて特産品の展示会が開かれたりした。地域の首長と会談する「市町村サミット」も実施して地元の意見に耳を傾けた。

いまの北海道の大きな課題は人口減少だ。JR北海道の路線見直しなど、道が抱える問題の一因はこの人口減少にある。もう1つは高齢化だ。高齢者は車を運転して移動できなくなるので、買い物や通院時の移動手段の確保は重要なテーマになる。

解決には道外から人を招き、道外への人口流出を防ぐ取り組みが必要だ。それには雇用創出や若者の移住支援策がなければいけない。ふるさと納税を使って認定こども園の利用料を無料にした上士幌町で人口が増加に転じた例もある。自治体は地域の人々と一緒に地元の問題を吸い上げて解決策を考える姿勢が必要だろう。

高齢化対策では、定年後も元気な人がこれまで培った知恵や経験を生かせる場を設けるべきだ。

北海道の活路は急増する外国人に支えられる観光と、食料供給地としての第1次産業だ。観光はサービスの充実と交通機関の整備が求められる。1次産業は地域の商工会も含めて生産物の付加価値を高めることだ。このためには人材育成も欠かせない。市町村の首長も住民にどう幸せに住んでもらうか考えなければいけない。解決策に特効薬はない。隣町の人が考えてくれるわけでもない。

〈元道商連会頭 高向巌氏〉

北海道商工会議所連合会の会頭を5期務め、北海道新幹線の開業と札幌への早期延伸を強く働きかけてきた。新幹線が札幌まで来れば、北海道と東北の間の、あるいは北関東との間との人的交流が増える。観光客の往来に加えてビジネスパーソンの往来だ。東京―札幌間は飛行機の方が速い。ただ飛行機では途中下車はできない。北海道と東北、東京と、途中下車しながらのビジネスを展開できるようになる。

もう一つの新幹線の効果として、道内経済が東北などと一体化することがあげられる。企業は北海道と東北全体をみて、工場や販売拠点を効率的に配置できるようになる。つまり、より規模の大きい企業が育ち、規模の利益を追求できるようになるということだ。そのメリットは大きい。

JR北海道は新幹線で赤字を出しているが、この赤字だけで新幹線の評価はできない。函館では観光客を受け入れるためのホテル新設が進んでいる。東北の観光客も増えているという実情もある。沿線の都市は新幹線開通により潤っているということだ。JRのコストと沿線にもたらす経済効果の両方を加味して評価する必要がある。

一方で北海道の金融界にも大きな課題がある。道内では人口減少が進行して地域の過疎化が深刻になるなか、道内の金融機関の数は多すぎる状況になっている。そうした現状を背景に信金や信組の統合が進んできたものの、さらに踏み込む必要があるのではないかと考える。

すなわち、信金同士や信組同士の「横の統合」だけでなく、銀行と信金・信組の統合といった「縦の統合」を検討してもいい時期に来ているのではないか。北海道の金融機関が生き残るには、そうした考え方も必要になっていく。

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