じぶん働き方改革! 今年こそ朝活、早起き習慣の極意

「働き方改革」と言っても、会社や人事の変革を待っていてもらちが明かない。会社が変わる前に自分が変わっていかないと、一番先に割を食うのは、真面目に創意工夫をしながら仕事をしている私たち――。働き方改革のコンサルティングを行っている池田千恵さんが、明日からすぐに実践できる仕事術・時間術・コミュニケーション術などを紹介していきます。
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2018年こそ早起き習慣を身に付けたい! と願う人へ
新年には「今年こそは!」と誓いを立てたくなりますよね。誓いの一つに「早起き」が入っている方も少なくないのではないでしょうか。働き方を変えないと仕事が回らないという危機感を感じている方にとっては特に、早起きは魅力的なものに感じることでしょう。
早く起きることができれば、メールや急ぎ案件などの追い立てられる仕事から解放されます。その上、朝は睡眠で前日までの情報が整理され、頭がクリアになっている状態です。2018年こそ、朝のうちに仕事の仕込みを済ませてしまい、あとは淡々と決めたことを進めるのみ、という状態になれたら最高ですよね。
私は長年、朝4時起き生活を続けています。2009年に「『朝4時起き』で、すべてがうまく回りだす!」(マガジンハウス)を出版、3万部でベストセラーといわれているビジネス書の世界では異例の12万部となったり、朝専用手帳である「朝活手帳」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がロングセラーとなったりしたこともあり、周囲にも早起きのコツや朝すべきことを講演や研修で伝えています。朝、本格的に仕事に取りかかる前に、何を、どれだけ準備するかを意識したり、将来の夢や目標を楽しい気分でイメージしたりすることで「忙しい!」というイライラは格段に減ります。
最近は1歳の息子も一緒に起きてしまい朝から全力でのお遊びタイムになることも多いですが、仮に息子が起きてしまい朝イチで遊ぶことになったとしても、保育園登園までに時間はたっぷりあるため、「時間がない!」「早くしなさい!」とせかしたり怒ったりヤキモキしたりすることもなく、精神的にもゆとりを持てることを実感しています。朝イチから充分に遊んであげるので息子も満足しているようで、機嫌よく「バイバイ」と保育園に向かいます。
そこで今回は、2018年こそ働き方を変えるために早起き習慣を身に付けたい! と願う方に向け、早起きの秘訣やおすすめのツールを紹介します。
強烈な意志や強い決意には頼らない
今年こそ早起きしたい! と毎年思って続かない方がよくはまる思い込みは「早起きするには強烈な意志や強い決意が必要だ」「やろうと思ったことができない自分はダメだ。もっと頑張らなければ」というものです。
もちろん「頑張るぞ!」と自分を奮い立たせるのは悪いことではありません。でも、思い出してみてください。モチベーションが続くのは年末年始の前後3日間くらいだったりしませんか?
運動や勉強、または何かの習慣を「意志」や「やる気」だけで継続できる人は、たったの2%だと、行動科学の専門家から以前聞いたことがあります。やる気を出して頑張ろう! というのは一瞬しか続かないもの。「やる気」をいかに「仕組み」として生活に組み込むかが大切になってきます。
また、もう一つの誤解は「早起きするには睡眠時間を削らなければいけない」というものです。先日「毎日睡眠時間が4時間しかないけど、もっと早起きしたい」という方がいらしてあぜんとしました。早起きする前に寝てください! 睡眠時間を削って、ぼーっとした頭で1日を無駄にするなんて本末転倒。睡眠時間を削るのではなく、「生活時間の朝シフト」をすると考えましょう。時差がある外国に行ったと思えばいいのです。私はよく「早起き国に留学したと思ってください」とお伝えしています。
アナログ手帳が早起きに有効な理由
では、「意志」や「やる気」という曖昧で移ろいやすいものを「仕組み」として生活に組み込むにはどうしたらよいでしょうか。私は
1.アナログ手帳に
2.夜寝る前/朝イチでだいたいの予定を
3.手書きで
記入することをおすすめしています。
なぜアナログかというと、デジタルのように機能が複雑でなく、シンプルなので邪魔が入らないからです。スマホ、タブレット、パソコンに常時つながりっぱなしの環境に慣れてしまうと、「ついで」にいろいろしたくなりませんか? 漢字を忘れた、といって辞書ソフトを立ち上げたとき、それだけではまず終わりません。そのついでにメールをチェックしちゃおう、とか、あの人との予定は何時にどこだっけ? と思い出すために検索だけするつもりが、ついSNSをのぞいてしまい、2分のつもりが20分たってしまったなんてこともザラですよね。アナログ手帳なら、そんな誘惑とは無縁です。
就寝前と起床後に書くことはコレ
「朝早起きすればいいことがあるかも」「時間を有効活用できるかも」そんなぼんやりした目標では、睡眠欲に負けてしまうのがオチです。朝早起きてすることを具体的に落とし込むために、「明日の朝、5時に起きてランニングをする」「朝4時半に起きて、資格試験の勉強をする」など、目標をしっかりと手帳に記録しておきましょう。それがいい意味でのプレッシャーとなります。起床後、すべきことや終業時間も、朝のうちに決めてしまいましょう。
具体的には、次のようなことを手帳に書いてみてください。
<就寝前にすること>
1.次の日の欄に何時に起きるかを書く
2.起きて何をするかも、(ざっくりでいいので)書く
<起床後にすること>
1.朝イチで、今日仕事を終える時間を書く
2.「朝の3行日記」を書く
順番に説明します。
寝る前に次の日の朝をデザインする
せっかくの寝る前のくつろぎ時間に、明日の朝やることをリストアップするなんて面倒。それに、一日が終わった気がしないから嫌だなー。そう思われるかもしれませんね。実はその「一日が終わっていない感」は、捉え方によっては前向きに活用できるのです。
人間は、中途半端なことを気持ち悪いと思う習性があります。テレビを見ているときも、つまらないと思いながらもついつい、区切りのいいCMのところまで……と見続けてしまいますよね。この習性を使ってすべきことを手帳に書くことにより「終わっていない感」「区切りの悪さ」を明日まで持っていくわけです。
また、デジタルの手帳と違って、手書きの手帳は書いた軌跡が残ります。前日にやろう! と決めたことを達成できないと「できなかった」ことが残ってしまい気持ち悪いですよね。二度寝しそうになったときでも「あ、そういえば、今朝、あれとこれをやろうとしてたんだ、起きないと!」と思い、それが原動力になります。
細かく書くのは面倒なのでざっくりでかまいません。例えば私の場合は「今月の振り返り」「4時に起きる」などと簡単に1行で済ませています。これでもじゅうぶん効果はあります。
起床後は、まだ始まらない1日をいい予感で予測する
起床後書くべきは「仕事を終える時間」と、前日を振り返る「朝の3行日記」です。「今日は18時に絶対に帰る!」と決めたら、手帳に書いて自分に宣言してしまいましょう。スイッチが入り、逆算して仕事の段取りを考えるようにモードが変わります。
「朝の3行日記」は初めて聞く方も多いと思うので詳しく説明します。二つのパターンのいずれかで簡単に日記を書くというものです。
1.前日の出来事を客観的に振り返って日記をつける
2.今日1日の出来事(つまりまだ終わっていない1日)を、いい予感で予測して日記をつける
夜振り返るとネガティブな感情に振り回されやすい出来事も、朝なら中立的に捉えることができます。夜はクヨクヨしない! 朝クヨクヨする! と決めてサッサと寝て、朝、前日の出来事を振り返ってみましょう。朝なら、前日の感情的な気持ちから抜け出すことができ建設的なアイデアも生まれます。
今日1日の出来事をいい予感で予測して書いてしまうと、面白いことが起きます。例えば私は今ダイエットしているのですが、食欲をコントロールできて、昨日よりも体重が0.5kg減ったよ! という喜びを、まだ体重が減っていない今、予測して記録しています。
するとあら不思議。0.5kg減った気分で、背筋をシャンと伸ばし、おなかも引っ込めて食事に気を付けて一日を過ごすことができるせいか、本当に体重が減りました。
科学的には説明がつかないことではありますが、途方もない大きな目標ではなく、小さい、今日ちょっとだけ頑張ったら達成できそうなことを少しずつクリアするための手法としてオススメです。
例えば「今日は段取りよく仕事を進めることができて、定時で帰ることができた!」と宣言して書いていくことで、本当に段取りを意識することができるようになりますよ。

手帳で時間を整え、余白をつくろう
私は、朝型が絶対的に正しい、と言うつもりはありません。遺伝的に決まっていて、生まれながらにして夜型だという人もいると聞きます。「私は夜型のままがいいんだ」という方を、無理に朝型に切り替えるべきだと言うつもりもありません。
ただ、もし夜型の方の中で、仕事が終わらない、残業が多過ぎる、夜の断れない付き合いが多い、1日でカタをつけないと気が済まない、などの理由で、「望まない夜更かし」をしている方がいるのであれば、年末年始をきっかけに朝型へシフトしていくのも一つの方法だと思います。
私自身、「もう朝なんて一生来ないのではないか」と思うくらいの絶望を感じたとき、いつも早起きが心の支えになってくれました。どんなにつらい夜でも、お日様は必ず昇ってきてくれて、「よし、頑張ろう!」と思うことができました。
早起きは、自らの意志で人生を選択するための訓練です。朝のまっさらな状態の中で、いい気分を意図的につくるために、ぜひアナログの手帳を活用してみてくださいね。

[nikkei WOMAN Online 2017年12月20日付記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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