2018年10月20日(土)

私立中「プレテスト」関東でも拡大 本番同然の模試

2017/12/25 14:00
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来春の中学入試を前に「プレテスト」と呼ばれる模擬入試を行う学校が関東で広がり始めた。本番さながらの試験問題を用意し、合否判定を行う学校もある。関西では大阪府の8割近い私立中が導入するなど一般的だが、過度な囲い込みにつながる懸念から東京都内では控えられてきた。学校関係者は「入試のフライングにならないよう注意すべきだ」と指摘している。

「それでは始めてください」。11月下旬の国際学院中学校高等学校(埼玉県伊奈町)。小学5~6年生約50人が教員の掛け声で一斉に答案用紙と向き合った。この日は作文や英語などから選択した50分のテストを2コマ受験。答案は教員が添削して後日返却する。

今年度初めて本番と同じレベルの問題を用意しプレテストを行った。昨年度までは入試対策学習会を実施していたが、今年度は参加者が3~4割増えた。広報募集部の中村千歳主任は「少子化で受験生の大幅な増加を見込めない中、受験に関心のない層に存在を知ってもらうきっかけにしたい」と語る。

日本大学豊山女子中学校・高等学校(東京・板橋)も昨年度から「思考力型入試」のプレテストを実施。提示されたテーマから1つを選び、60~90分で図書館やタブレット端末で情報収集し試験官の前で考えなどを発表する内容。入試担当の黛俊行教務主任は「新しい入試形式で多様な受験者を確保したい」と巻き返しを図る。

小学6年の娘が受験予定校のプレテストを受けたことがある埼玉県の40代女性は「本番の入試は緊張すると思う。経験できて良かった」と評価する。

私立中高の入試に詳しい森上教育研究所(東京・千代田)の森上展安社長によると、関東ではこの2~3年で広がり始めた。大学入試改革に合わせ新方式の試験を採用した中学が、なじみの薄い試験を試してもらう機会として導入したケースが多いという。

教材販売のエデュケーショナルネットワーク(東京・千代田)によると、プレテストが始まったのは約30年前。大阪府内の一部の私立中で実施された。関西2府4県では2007年度に38校だった実施校が17年度に94校に増加。大阪府の私立中の77%に上る。同社の担当者は「プレテストを受けることで志望校の一つと捉えてもらうのが学校の狙い。受験生は教室や教師を見ることで学校選びのミスマッチを防げる」と分析する。

もっとも、関西ではテスト結果によって特待生候補として登録したり、合格可能性を判定したりする例もある。過去には本番で加点した学校もあり、関係者から「やり過ぎだ」との声もあった。

東京私立中学高等学校協会(東京・千代田)は入学者選抜実施要項で「(入試前に)模擬試験を行うなど紛らわしいことは一切行わないこと」と規定。入試日の前倒し化を防ぐため入試解禁日を設定し“青田買い"にくぎを刺す。森上社長は「生徒募集のフライングだと受け止められるようなことがないよう、首都圏ではあくまで学校や入試を知る機会として活用すべきだ」と強調する。

少子化、受験者減に危機感
 「プレテスト」と呼ばれる模擬入試の導入が広がっている背景には、少子化で受験生の大幅な増加が見込めないことへの危機感がある。
 文部科学省の調査によると、2017年度の中学校在学者数は約333万3千人で前年度から約7万3千人減少しており、最近では右肩下がりの傾向が続く。5年前の12年度からは約21万9千人減った。
 将来も減少は続く見込みだ。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、0~14歳の人は15年の1595万人から21年に1400万人台まで縮小。56年には1千万人を割るとしている。

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