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スキー産業復活・強化へ 皆川賢太郎氏が描く未来

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2017/12/25 6:30
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2006年のトリノ冬季五輪で4位入賞したアルペンスキーの皆川賢太郎氏(40)が全日本スキー連盟(SAJ)の強化部門トップに当たる競技本部長に就任して半年がたった。従来のマーケティング担当と「二足のわらじ」をはいた元トップレーサーは停滞してきたスキー産業の復活と強化の底上げを視界にとらえる。

皆川氏はマーケティング担当と競技本部長を兼ねる

皆川氏はマーケティング担当と競技本部長を兼ねる

「(強化のための)予算を5倍もかけている国と戦っている選手もいる。そのなかで成績を上げている彼らの努力はすごいが、十分に知ってもらえていないのは我々の能力のなさ。彼らが望む環境はまだまだできていない」。自戒も込め、皆川氏はSAJに辛辣な目を向ける。年功序列の色濃かった競技本部長に40歳で就任するのも、マーケティング分野を兼務するのも異例の人事。日本オリンピック委員会(JOC)などから受け取る補助金を当てにしてきた連盟を「自ら稼ぎ、強くなる集団」に変えるエンジン役こそ自らの役割と心得る。

強化費の大部分を占めるとみられる旅費支出はここ数年、4億円前後の横ばいで推移してきた。近年は「選択と集中」で限られたパイをメダルに近い種目に振り分け、14年ソチ五輪でも7個のメダルを獲得。しかし、そのしわ寄せは層の厚い花形競技にやってきた。皆川氏や佐々木明氏、そして34歳で現役の湯浅直樹が世界に追いつき、食らいついてきたアルペンスキー界も強化費削減の波にさらされ、後に続く若手は世界の壁の前になすすべもない。こちらを立てればあちらが立たず。このジレンマに対する皆川氏の答えは「支出ばかり意識しても考え方が狭くなる。それなら全体の収益を増やして使えるようにしたらいい」と明快だ。

「スキー連盟には国などからもらえる強化費とは別に自分で生み出す力もしっかりある」。前期の経常収益約9億7千万円のうち、補助金などは約2億8千万円と3分の1に満たない。多くの資金はSAJへの会員登録や、指導員などの公認料、検定料といったスキーに携わる人たちから集まっている。自助努力の余地がありながら、無為無策のままスノースポーツの人口減の波にさらされるこの部分の「底上げ」とみるスポーツとしての「興行化」。これが皆川氏が掲げるキーワードだ。

11月25日、東京・銀座でスキー用品や小売り、スキー場関係者らが集まった第3回の「スキー未来会議」。皆川氏が呼びかけ昨年10月に立ち上がった在野の会合では、悲観するに及ばぬ産業の可能性が示されながら、そのチャンスを生かせない関係者のもどかしげな声がない交ぜになった。スキーブームを巻き起こした映画「私をスキーに連れてって」の公開から今年で30年。バブル景気の崩壊とともにその足元も怪しくなり、スノースポーツの人口はピークの1998年の約1800万人から15年に740万人まで減った。ただ、国内の衰退とは裏腹に、日本の雪山への評価は世界で年々高まる。「パウダースノー」の雪質は交流サイト(SNS)を通じて世界に広まり、観光庁による訪日客調査では「次回の訪日でしたいこと」で「スキー・スノーボード」はオーストラリア人で62.7%と項目中の1位。中国人も24.2%と「その他のスポーツ」(4.5%)、「スポーツ観戦」(5.8%)などを大きく上回った。

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