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米孤立、指導力に傷 「エルサレム首都」国連が撤回

【ワシントン=永沢毅】国連総会が21日の緊急特別会合で、エルサレムをイスラエルの首都と認定した米国の決定撤回を求める決議を賛成多数で採択した。トランプ政権が支持基盤固めという内政の事情を優先した判断は自らを孤立に追い込み、国際社会における影響力の決定的な低下を鮮明に印象付けた。トランプ大統領が事前に警告した通り、賛成国への援助を打ち切れば、対テロ作戦など他の問題での結束にも影響は避けられない。

「国連の無責任なやり方になびかなかった国々に感謝する」。米国のヘイリー国連大使は、米国の意向に沿って決議に反対、棄権した国のリストをツイッターに投稿、謝意を示した。イスラエルなど9カ国が反対し、カナダやパナマ、コロンビアなど35カ国が棄権した。米国の国連代表部は「多くの国が米国との関係を優先したのは明らかだ」とする声明を出した。

ただ、強がりにすぎないのは明白だ。賛成は、日本や英仏独といった重要な米国の同盟国を含む128カ国に及んだ。

今回、米国の孤立が改めて鮮明になった。22日には、国連安全保障理事会で対北朝鮮追加制裁決議案の採択も控える。エルサレム問題における孤立は、対北朝鮮の結束にも冷や水を浴びせた。

トランプ政権は「賛成した国の援助を打ち切る」と脅しをかけた。だが、パレスチナ自治政府のマルキ外相は「私たちは侮辱も脅迫も受け入れない」と勝利を宣言した。

米メディアによると採決を欠席したケニアは米国から多額の援助を受けている。しかし、被援助国のアフガニスタンやエジプト、パキスタンなどはいずれも賛成に回った。総会の開催を要請したイエメンも、米から人道援助を受けている。

他国に脅しをかけて意に沿わない対応を変更するよう促す手法には、「まるで中国だ」(国連外交筋)などと批判が上がる。法の支配や自由の尊重といった米国の価値観にもそぐわない対応といえ、米国の信用失墜に拍車をかけかねない。

今後は、米国が実際に支援を打ち切るかが焦点となる。国務省のナウアート報道官は「今回の投票だけを考慮に入れて他国との関係を考えるわけではない」と明言を避けた。報復に動けばアラブ諸国との亀裂はさらに深まり、アフガンやパキスタンなど対テロ掃討作戦にも影響は必至だ。

トランプ氏がエルサレムの首都認定を決めたのは、共和党保守派の期待に応えて支持基盤を固めるという内政上の理由が大きい。その決定が、同じくトランプ氏の重視する対テロ戦の結束を揺るがす結果を招いたとしたら、皮肉というほかはない。

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