2019年5月22日(水)

天皇陛下の記者会見全文

2017/12/23 5:00
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天皇陛下が84歳の誕生日を迎えるに当たって臨まれた記者会見の全文は以下の通り。

84歳の誕生日を前に記者会見に臨む天皇陛下(20日、皇居・宮殿「石橋の間」)=代表撮影

(問) この1年、天皇陛下はベトナムへの公式訪問や九州北部豪雨の被災地お見舞い、鹿児島県の離島3島訪問など、国内外でさまざまなお務めを果たされました。6月には「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立し、9月には初孫の眞子さまのご婚約が内定しました。この1年を振り返りながら、退位の日までのお過ごしについてのお考えをお聞かせください。

■陛下 今年2月末から3月初旬にかけて、皇后と共にベトナムを訪問しました。我が国とベトナムとの関係は近年急速に進み、国家主席はじめ多くのベトナムの要人が我が国を訪れていますが、私たちがベトナムを訪問するのは初めてのことでした。

ベトナムでは現在の国家主席ご夫妻をはじめ、4人の指導者に丁重に迎えられ、また多くのベトナム国民から温かい歓迎を受けました。両国間の緊密な関係に深く思いをいたしました。

ハノイにおいて先の大戦の終了後もベトナムに残り、ベトナム人と共にフランスからの独立戦争を戦ったかなりの数の日本兵が現地で生活を営んだ家族の人たちに会う機会もありました。

こうした日本兵たちはベトナムの独立後、勧告により帰国を余儀なくされ、残されたベトナム人の家族は幾多の苦労を重ねました。そうした中、これらベトナム人の家族と帰国した元残留日本兵たちがその後、日本で築いた幾組かの家族との間に理解ある交流が長く続いてきていることを聞き、深く感慨を覚えました。

ハノイ訪問の後に、古都であるフエを訪問しましたが、ベトナム独立運動の先駆者で日本の支援を求めて我が国に滞在した時期もあるファン・ボイ・チャウの記念館も訪れました。ここでも日本とベトナムとのさまざまな交流の歴史に触れることとなりました。今後とも両国の友好関係が一層進展していくことを願っています。

ベトナム訪問の後にタイを訪問し、昨年10月に崩御(ほうぎょ)になったプミポン国王との長い交流の日々を懐かしく思い出しながら、最後のお別れをいたしました。

今年も残念なことに、いくつもの自然災害が起こりました。特に7月には九州北部がまれに見る豪雨に見舞われ、多くの人命が失われるなど大きな被害を受けました。

10月に福岡県朝倉市と大分県日田市をお見舞いに訪れましたが、朝倉市に向かう車中から見た災害の大きさは、自然の力の恐ろしさを改めて感じさせるものでした。被害にあった人々が深い悲しみの中にありながら、皆で協力して懸命に復興に取り組んでいることを心強く思いました。

また11月には鹿児島県屋久島を訪れ、その西方12キロに浮かぶ口永良部島で2年半余り前に起きた火山噴火によって屋久島への全島避難を余儀なくされた人々をお見舞いしました。

噴火に先立ち、避難訓練を行っていたこともあって、幸い速やかに全島民が無事に屋久島に避難したと聞きました。屋久島の人々の助けを得て避難生活を送り、今は多くの人が口永良部島に戻り、復興に取り組みながら元の生活に戻りつつあることをうれしく思います。

我が国は豊かな自然に恵まれていますが、同時に自然災害の脅威にさらされており、こうした事態に備え、また不幸にして災害が起こった時、人々が助け合うことがどれほど重要かということに思いを深くしました。

この11月の屋久島訪問に続けて、沖永良部島と与論島を初めて訪問しました。これは平成24年2月に一度計画されながら、私の心臓バイパス手術のために見送られたものです。島の美しい自然に触れるとともに、島の人々がそれぞれの伝統を育み、その自然を生かして生活を送っている姿を頼もしく思いました。

今年、宗像・沖ノ島と関連遺産群がユネスコの世界遺産に登録されたことは喜ばしいことでした。10月に福岡県で行われた「全国豊かな海づくり大会」に出席する機会に宗像大社を参拝し、4世紀から9世紀にかけて沖ノ島に奉献された宝物を見ました。沖ノ島は我が国と朝鮮半島との間に位置し、航海の安全と交流の成就を祈る祭祀(さいし)がそこで行われ、これらの宝物はその際に奉献されたとのことでした。

また、それに先立つ9月に埼玉県日高市にある高麗神社を参拝しました。今から約1300年前に高句麗からの渡来人がこの地に住み、建てられた神社です。多くの人に迎えられ、我が国と東アジアとの長い交流の歴史に思いをいたしました。

私たちの初孫である秋篠宮家の長女、眞子と小室圭さんとの婚約が9月に内定し、来年11月に結婚いたします。大変喜ばしく、2人の幸せを願っています。

このたび、再来年4月末に期日が決定した私の譲位については、これまで多くの人々がおのおのの立場で考え、努力してきてくれたことを心から感謝しています。残された日々、象徴としての務めを果たしながら、次の時代への継承に向けた準備を関係する人々と共に行っていきたいと思います。

今年も残すところわずかとなりましたが、来る年が国民皆にとって良い年となるよう願っています。

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