投機と貯蓄の間がない(大機小機)

2017/12/22 16:38
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仮想通貨ビットコインの取引が過熱気味だ。米国の取引所での先物上場で世界でも一段と注目が集まっている。

「ビットコインは、安定した価値の保存手段でも法的な通貨でもない。非常に投機的な資産だ」。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長をはじめ世界の中央銀行幹部は、投機の過熱に警告を発する。

そのビットコインの取引の4割を日本勢が占めているという。日本は自国通貨建て資産を好むいわゆる「ホームバイアス」が強い国だとされてきた。また、貯蓄好きで、ベンチャー企業などへのリスクマネーがなかなか回らないともいわれてきた。

しかし、現代の代表的な投機資産のビットコインや、投機性の高い外国為替証拠金(FX)取引でも日本勢の存在感は大きい。日本の個人はリスクを全くとらないというわけではないのだ。

ところが1800兆円にのぼる個人金融資産全体の内訳をみると、約5割がほとんど金利のない現預金に眠り、株式、投資信託をあわせても15%にすぎない。米国は現預金が13%で、株式・投信が46%。保守的な欧州でも現預金33%に対し株式・投信は27%に達している。

日本の個人金融資産は、ゼロ金利の現預金と、投機性の高いビットコインなど高リスク資産の両極端には流れるが、その中間の株式・投資信託のへの投資比率が欧米に比べ極端に低いのだ。中間に位置するとみられる上場投資信託(ETF)をせっせと買っているのは日本銀行である。

個人金融資産の安定的な伸びは日本の財政の安定性にも直結する。

日本総合研究所の試算では、過去の平均ペースの伸びを想定すると、2035年度には、今は約1000兆円の国・地方の長期債務残高が2800兆円に達し、個人金融資産の残高を上回る。さらに個人金融資産の伸びをゼロと仮定すると逆転の時期は27年度に早まるという。

高齢化で預貯金の取り崩しが進むことも考えれば、日本の財政赤字を国内だけでファイナンスするのはこれからだんだん難しくなってくる。ギャンブルのような投機ではなく、大切な個人金融資産を着実に増やす方向に、お金が流れてほしいものである。(琴線)

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