2019年8月20日(火)

伝統の名跡、新世代が継ぐ 2017年回顧(もっと関西)
カルチャー

2017/12/22 17:00
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2017年の関西文化界では伝統芸能の襲名が相次ぎ、文楽や狂言などで世代交代を印象づけた。日本初のレビューから90周年を迎えた宝塚歌劇団も動員の好調が続いている。演劇・演芸、音楽、美術の各担当記者が1年を振り返った。

4月の襲名披露公演で語る六代目豊竹呂太夫(左、大阪市中央区の国立文楽劇場)

4月の襲名披露公演で語る六代目豊竹呂太夫(左、大阪市中央区の国立文楽劇場)

【演劇・演芸】

伝統芸能では襲名が相次ぎ、世代交代を印象づけた。4月には人形浄瑠璃文楽の太夫、豊竹英太夫(はなふさだゆう)が祖父、十代目若太夫の前名である豊竹呂太夫(ろだゆう)を六代目として襲名。襲名披露公演で祖父も得意にしていた「菅原伝授手習鑑(てならいかがみ)」の「寺子屋の段」を語るなど、竹本住太夫ら重鎮太夫が去った文楽界で重要な役割を担った。

8月は大蔵流狂言師の茂山良暢(よしのぶ)が、当主名の茂山忠三郎を五世として、10月には上方落語の実力派、笑福亭三喬が師匠の名跡である笑福亭松喬(しょきょう)を七代目として襲名した。どちらも、先代が亡くなってから数年間空席だった名跡の復活だ。

文楽では10月、人形遣いの吉田和生が人間国宝に認定された。昨年亡くなった人間国宝の師匠、吉田文雀から受け継いだ品格ある芸風が評価された。伝統芸能の継承者として「教わったことを次の世代に伝えたい」と力を込める。人間国宝にはほかに、能囃子方(はやしかた)小鼓の大倉源次郎も認定された。

現代演劇では、県立として日本で初めての公共劇団である兵庫県立ピッコロ劇団(尼崎市)の活躍が光った。2~3月に上演した「歌うシャイロック」は劇作家、鄭義信(チョンウィシン)を招き、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」を音楽劇として翻案。10月には文学座の藤原新平演出の「かさぶた式部考」で4年ぶりの東京公演を実現し、好評を得た。

宝塚歌劇団は日本初のレビュー「モン・パリ」初演から90周年。正月公演の「カルーセル輪舞曲(ロンド)」など、宝塚の象徴ともいえるレビューを再評価する作品が目立った。

歴史ある劇場の閉館が相次いだ。関西の小劇場演劇をけん引してきたアトリエ劇研(京都市左京区)は8月末で30余年の歴史に幕を閉じた。大阪能楽会館(大阪市北区)は老朽化などを理由に12月末で閉館する。

4月には鳳啓助との夫婦漫才コンビで親しまれた京唄子が亡くなった。テレビ番組「唄子・啓助のおもろい夫婦」での司会業のほか、女優としてドラマや舞台にも出演するなど、上方演芸で幅広く活躍した功績は大きい。

■オケの顔交代

【音楽】

大阪フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者・井上道義が3月に退任した。7月にバーンスタインの大作「ミサ」を上演し、自ら花道を飾った。井上の後を受けた尾高忠明は来年4月、音楽監督に就任する。日本センチュリー交響楽団は大阪府豊中市のホールの指定管理者となり、地域の文化を育む新たな試みとして注目を集めた。

劇場ではびわ湖ホール(大津市)の企画力が目立った。ワーグナーの大作オペラ「ニーベルングの指環(ゆびわ)」4部作の新制作に着手し、3月に序夜「ラインの黄金」を上演。読売日本交響楽団と共同主催でメシアン「アッシジの聖フランチェスコ」(演奏会形式)の全曲日本初演を成功させた。

12月にはザ・フォーク・クルセダーズなどで活躍したフォーク歌手のはしだのりひこが他界した。はしだのりひことシューベルツでは「風」のヒットを飛ばし、1960~70年代の関西フォークのブームにも大きな影響を与えた。

■北斎展見応え

【美術】

最も見応えがあったのが、あべのハルカス美術館の「北斎 富士を超えて」展。大英博物館との共同企画で、北斎が60歳以降の30年間に描いた希少な肉筆画を中心に構成した。数ある北斎展とは一線を画する内容で、画の道一筋に生きたこの江戸期の絵師が世界的な画家であることを改めて証明した。

京都国立博物館の「国宝」展は雪舟の水墨画の数々や長谷川等伯「松林図屏風」、俵屋宗達「風神雷神図屏風」、「伝源頼朝像」などの神護寺三像、「仮面の女神」などの縄文期の土偶が所狭しと並びまさに圧巻。日本美術の奥深さと多様さを見せつけた。

ほかに、兵庫県立美術館の「怖い絵」展と「大エルミタージュ美術館展」、国立国際美術館の「福岡道雄展」「安齊重男展」などが大きな話題を呼んだ。

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