賛成の日本、米の要請断る エルサレム非難決議

2017/12/22 18:38
保存
共有
印刷
その他

エルサレムをイスラエルの首都と認定した米国の決定撤回を求める決議を採択した21日の国連総会。日本は決議案の賛成に回った。「賛成国への経済援助を打ち切る」と表明したトランプ米政権の圧力の影響で反対は9カ国、棄権は35カ国に上った。日本は首都認定を巡る米国内の意見対立も背景に、米側に「原則論」を説き、理解を求めた。

「米国とは常日ごろ連携している。理解は得られたはずだ」。政府高官は22日、米国との調整の結果、今回の判断に至ったことを明かした。

日本政府にとって判断のヤマ場は18日に開かれた国連安全保障理事会の直前にあった。日本は今月、安保理の議長国で議論を仕切る立場にあるからだ。

エジプトが今回とほぼ同内容の決議案を提出し、日本は苦しい立場に置かれる。米側からは水面下で「反対してほしい。少なくとも棄権してほしい」という打診があったからだ。

棄権する案も浮かんだ。だが、安保理メンバー各国の動向を探ると、英国やフランスなど米国を除く他の理事国すべてが賛成に回るという情報が入った。「日本だけが異なる行動を取れば、中東の信頼を失いかねない」(政府関係者)との判断に傾いていく。

さかのぼると、トランプ氏が「エルサレムをイスラエルの首都に認定する」と判断したのは6日のことだ。外務省はその後の米政府とのやりとりの中で、米政府内にもトランプ氏の判断に賛否が割れていると気づく。「米政権にも判断は間違いだったという本音の声がある。日本が賛成しても理解は得られる」という見立てが外務省内には膨らんでいた。

トランプ氏の6日の表明直後、河野太郎外相は日本政府の立場を表明した。パレスチナ国家の建設とイスラエルが共存する「2国家解決」を支持しつつ、トランプ政権への厳しい批判は避ける――という方針が原則になった。

この原則を踏まえれば、18日や21日の決議案に賛成しない理屈付けは難しかった。

決議案には2つのポイントがあった。一つは2国家共存の解決を危うくする動きの転換を求める内容が盛り込まれたこと。トランプ氏は6日の表明で、2国家解決の考え方に関しては支持する考えを表明しており、ここはトランプ氏の意向を踏まえた形になっている。

もう一つは、決議案は米国を名指ししていないことだ。固有名詞が入らないから、直接的に米国を批判しているわけではない。こうした配慮を前提に、外務省は18日の安保理や21日の国連総会前に、反対も棄権もできない日本の立場を米側に伝え、一定の理解を得たとみられる。

河野氏は今月、イスラエルとパレスチナを含む3度目の中東訪問をする。首都認定を巡る問題が生じてから、主要国の外相級はまだ会談していない。日本が地域の対立回避へ建設的な役回りを果たせるのか、板挟みに終わるのか注目を集めることになる。(恩地洋介)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]